臨床実習における実習生のコミュニケーション能力に対する教育者の思い込み

コミュニケーション
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臨床実習において実習生に求められる能力の1つが『コミュニケーション能力』

逆に実習生が臨床実習に関して不安に感じる要因の1つが臨床教育者や患者さんとのコミュニケーションではないでしょうか?

私自身は学生達には少しでも早い段階からコミュニケーション能力を高める努力をした方がいいと伝えています

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実習前に養成校でもっと教育しておいて欲しい事

少し前になりますが、ご縁を頂き、第1回臨床実習シンポジウムに参加する事が出来ました

全国から臨床実習教育に興味のある教員や臨床教育者が多数集まっており、個人的には実習に不安を抱える現役学生にも参加してもらいたかったなと感じました

シンポジウムの中で個人的にどうしても気になったのが実習生のコミュニケーション能力について

臨床教育者が実習前に養成校でもっと教育しておいて欲しい内容という調査で1番回答数が多かったのが

『コミュニケーション、接遇など』

実習生のコミュニケーション能力に関する2つの疑問

全国の臨床教育者がコミュニケーションと接遇、どちらに問題意識を感じて、この回答をしたのかわかりませんが、私は非常に素朴な疑問を感じました

個人的にこの調査結果から感じ取れるのは

『最近の実習生はコミュニケーション能力が低い』

『最近の実習生は何を考えてるのかわからん』

といった臨床教育者側の声

何故、実習生のコミュニケーション能力が低い事が前提なのでしょうか?

実習生が上手くコミュニケーションが取れない理由は臨床教育者側にある可能性もあるのではないでしょうか?

シンポジウムの中ではもう1つ興味深い質問が寄せられていました

臨床実習において実習生の患者さんへの接遇やコミュニケーションには改善がみられる一方、臨床教育者に質問する力は改善が乏しい

養成校ではどういった教育をされていますか?

そんな感じの質問だったのですが、私はここに関してもすぐに疑問を感じました

何故、実習生の質問力に問題がある事が前提なのでしょうか?

実習生が上手く質問出来ない理由は臨床教育者側にある可能性もあるのではないでしょうか?

臨床教育者側に原因がある可能性も考えよう

色々と思う所はありましたが、今回はこの2つに絞って自戒も込めて、臨床教育者側にいる方々に考えて頂きたい事があります

1つ目は実習生の比較対象

目の前にいる実習生のコミュニケーション能力が低い、質問力が乏しい

それは誰と比較して、そう感じているのでしょうか?

自分自身が思い描く理想の実習生像や昨年担当した実習生、ひょっとすると今の自分自身かもしれません

他の実習生と比較するのはおかしいですし、現時点の自分と比較するのも到底おかしな話ですよね

本来、実習生の評価は実習開始日と最終日を比較して行うものだと思いますし、せめて自分自身と比べるのであれば、実習生当時の自分自身と比較してみて欲しいですよね

もう1つは実習生に対して、コミュニケーション能力が低い質問力が乏しいというのであれば、どうすればその2つの能力が向上するのかも指導してあげて欲しい

私がコミュニケーション能力向上のポイントとして学生達に伝えている事はポイントを踏まえた上で場数を積む事

出来る限り心理学に基づき、わかりやすく具体例を示しながら、伝えています

そして、色んな世代、色んな職種、色んな価値観の人と話をしてみて欲しいという事

正直養成校でよく知る者同士でコミュニケーションを積み重ねても、臨床実習の現場では役立ちにくいと思います

だからこそオンライン環境(Zoom等)を駆使して、多職種交流の場に学生を招き入れる事を大切にしています

少しでも興味のある人は是非ご参加下さい↓

質問力もコミュニケーションにおいて重要なスキルだと考えています

コミュニケーションに苦手意識がある人は『何を話せばいいのかわからない』と悩んでいる人が多い印象があります

そういった場合は話す事に焦点を当てずに『何を聞こう(質問しよう)か?』という視点に切り替えてみてはいかがでしょうか?

臨床教育者への質問力に限定するのであれば、シンポジウムの中で講師の方も話されていましたが

『実習生が何でも質問出来る環境なのか?』

ここに尽きるのではないでしょうか?

勇気を出して質問してみたものの『そんな事を知らないの?』と言われたり、質問返しされて『明日までに調べて来て』と課題にされる

そんな繰り返しの中で実習生は気軽に質問出来るでしょうか?

もう1つ付け加えるのであればCCS(診療参加型臨床実習)になり、臨床教育者が臨床推論を実習生に積極的に伝える様になって来ている現状を考えると、純粋に『質問が思い浮かばない』可能性もあるのではないでしょうか?

常時質問がないのもどうかなと思いますが、経験がない分『質問が出なくても仕方がない』といった捉え方も必要なのではないでしょうか?

そして、質問が多い事と実習生として意欲がある事は本当にイコールなのか改めて臨床教育者には考えてみてもらいたいなと感じました

まとめ

今回は臨床実習において実習生と臨床教育者が上手くコミュニケーションをとれないのは本当に実習生のコミュニケーション能力の問題なのかという事を考えてみました

臨床実習シンポジウムに参加し、改めて臨床実習におけるコミュニケーション能力の重要性を再認識する事が出来ました

養成校側もそこを重要視し、学生達に指導を行っている

ならば実習生を引き受ける側にいる我々もコミュニケーションに関する問題点を養成校と実習生に押し付けるのでなく

『自分自身にも問題があるのではないか?』

と顧みる事が出来る先輩、臨床教育者でありたいものですね

そして私自身は引き続き、臨床実習に不合格になり思い悩んでいる実習生達に対しても発信し続けていこうと思っています

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