歯科衛生士と理学療法士は連携出来るのか?~口腔機能からリハビリテーションを考える~

多職種連携
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理学療法士として主に病院で働き続けて18年

同じ敷地内に歯科がある勤務先もありましたが、恥ずかしながら未だに1度も歯科医や歯科衛生士と連携を図った経験がありません

歯科衛生士という国家資格があるのは知っていましたが、正直歯医者さんにいる助手的な感覚でしか認識出来ていませんでした

ふとしたキッカケでSNSを通じて歯科衛生士と知り合う事が出来たのですが、地域に出ている歯科衛生士もいる事、特に入れ歯を含む口腔機能、それに伴う食支援について凄い知識を持っている事、いわゆるオーラルフレイルがサルコぺニア発症や要介護認定に悪影響を及ぼす事等をデイスカッションを通じて知る事が出来ました

今回はディスカッションをする中で感じた理学療法士と歯科衛生士の連携について深掘りしてみたいと思います

医師や看護師、介護福祉士との連携に関してもまとめてみました

歯科衛生士と理学療法士は連携出来るのか?

質問に対する回答としては連携出来る部分は充分にあると考えています

1番関係がある部分としては、やはりオーラルフレイルではないでしょうか?

オーラルフレイルに関しては↓の記事にまとめていますので、参考にしてみて下さい

簡単に言うならば、入れ歯不適合(あっていない)によって、痛みが出たり、疲労しやすくなる事で食事摂取量が低下し、オーラルフレイルに繋がります

食事摂取量の低下はフレイルサイクル(↑の画像を参考に:画像は知人の作業療法士からお借りしました)が回り出すキッカケにもなる為に、理学療法士としても入れ歯の問題を軽視する訳にもいきません

ですが、過去の私も含め入れ歯にまで意識が向けられている理学療法士はどの程度いるのでしょうか?

正直かなり少ないと思いますし『入れ歯も大切なんだ』と知った所でどの様に評価して良いのかもわかりませんよね

入れ歯の評価と出来る対応について

その辺りを歯科衛生士に質問した所

  1. 入れ歯がすぐ外れる感じがある
  2. 噛む時に痛みがある
  3. 以前と比べて口臭がする

こういった時は入れ歯の問題や口腔機能が低下している可能性があるそうです

では実際にそういった場面に遭遇した時に療法士はどの様に対応すれば良いのでしょうか?

選択肢は2つ

  • 同じ敷地内に歯科があるのであれば、連絡を取り、歯科医や歯科衛生士に評価してもらう
  • 歯科がなければ、往診してくれる歯科医を探し、病棟に来て頂いた上で評価してもらう

過去の私を含む療法士だけに限らず、多くの医療介護従事者にとって、病棟に往診に来てもらうという思考がまずないのではないでしょうか?

理学療法士と歯科衛生士が連携するメリット

改めて理学療法士が歯科医や歯科衛生士と連携する事によるメリットについて考えてみましょう

まず、入れ歯が上手く適合していない事による噛む力(咬合力)の低下が下肢の運動機能の低下と関連している事が報告されています

同時に70歳の人では、社会経済的な要因を調整した上でも咬合力の低い人は緑黄色野菜、魚介類の摂取が少なく、その結果、抗酸化ビタミン、食物繊維などの摂取が少なくなる事が明らかになっているそうです

魚介類の摂取が少なくなる事はたんぱく質の摂取量が低下する事にも繋がる可能性が高く、結果的に下肢の運動機能が低下する要因にもなり得るのではないでしょうか?

更に興味深い事に歯数に比べ咬合力の方が、上記の栄養素の摂取に対して、より関連が強い事が示されています

高齢者は一般に残存歯が減少しますが、単に歯がある事、歯を残す事より義歯も含めた口腔機能維持の方がより重要である事が明らかになっているそうです

年齢を重ねて歯の数が少なくなっても、噛む力があれば下肢の運動機能は維持されやすいのかもしれませんね

その他にも噛む力があれば、食事の選択肢が増える事にも繋がり、QOL(生活の質)が向上する可能性があります

また、堅い物も食べる事が出来るという事は食事の幅が広がるだけでなく、食形態にも影響して来る事が考えられます

噛む力がある事でミキサー食等ではなく、常食の様な形のある物が食べられる可能性が高まります

その結果、当然ながら味だけではなく、見た目から食を楽しめる事になり、

更には形がある物を食べられる事で自然と箸を使う様になった結果、上肢の巧緻性が向上する事にも繋がるそうです

まとめ

今回は歯科衛生士と理学療法士の連携について考えてみました

歯科衛生士とディスカッションをする機会がなければ、ここまで入れ歯や咬合力について考える事はなかったでしょう

最初の方にも書かせて頂きましたが、オーラルフレイルによる食事摂取量の低下はフレイルサイクルが回りだすキッカケになります

オーラルフレイルを作り出す原因の1つが入れ歯不適合による噛む力の低下だとするならば、理学療法士が少しでも入れ歯の問題に気付き、歯科医や歯科衛生士と連携する事が出来れば、フレイルサイクルが回り始める前に止める事が出来るのではないでしょうか?

食べられる事、別の言い方をするならば栄養をしっかり確保出来る事は効率的にリハビリテーション(目標)を実現する為の土台であると私自身は考えています

管理栄養士と理学療法士の連携については↓

栄養の事は管理栄養士にお任せ、歯の事や口腔機能に関しては歯科衛生士や言語聴覚士にお任せではなく、リハビリテーションを実現する為の土台作りを他職種と連携しながら一緒に構築出来る様な理学療法士でありたい

そう考えると、今後益々高齢化が進んで行く日本において、入れ歯に関しての勉強は避けて通れないのかもしれませんね

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