理学療法士が医師・看護師・介護福祉士との多職種連携を考える~リハビリテーションはチーム医療~

多職種連携
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理学療法士として働き続けて18年

幅広い領域で働く中で、様々な職種と一緒に仕事をして来ました

『リハビリテーションはチーム医療』

恥ずかしながら、養成校時代に学んでいるはずのこの言葉が腑に落ち始めたのはここ数年の事かもしれません

『多職種連携の為には他職種の事を知る』

私自身が大切にしている価値観であり、様々なSNSを活用する中で多くの職種と繋がり、意見交換する事を心掛けて来ました

今回は多職種連携において、理学療法士が医師、看護師、介護福祉士どの様に連携していけば良いのか、個人的な経験や想いを交えながらまとめてみようと思います

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リハビリテーションの実現の為に多職種連携が必要

改めてになりますが、リハビリテーションはチーム医療です

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は『リハビリテーション専門職』として紹介される事が多いですが、リハビリテーションはこの3職種だけで実現出来るものではありません

医師や看護師を筆頭に

『その人らしい生活を実現する為の全ての関わりはリハビリテーションである』

という事を覚えておいて頂きたいですね

以前にもリハビリテーション専門職という言葉が生み出す先入観という記事を書きました↓

効率的なリハビリテーションを実現する為には他職種とコミュニケーションを図る事、そして他職種の事を知ろうとする事が大切ではないでしょうか?

医師と理学療法士の連携

病状やリスク管理(運動負荷量や禁忌等)の確認は当然ながら、栄養や薬の事でも密に連携していく必要があるのではないでしょうか?

40代の末期癌患者さん

病院食があまり進まない事に加え、癌の影響で消費エネルギーが多くなる為に、日を追う毎に体重が減少していきました

少しでも栄養を取って頂く為にお菓子等の間食に加え、栄養補助食品のクリミールを追加

クリミールだけで体重減少に歯止めがかかる訳ではないのですが、元々コーヒーが好きだった患者さんにとって、小さな楽しみには繋がりました

『少しでも身体が動く内に自宅でゆっくり過ごしたい』

という患者さんの希望があり、1日でも長く在宅生活を満喫して頂く為に自分なりに考えた事は環境整備だけでなく『食生活』について

自宅に戻る事で好きな物を好きな時に食べられる環境にはなりますが、それでも食べられない可能性を想定しました

一方で様々な事情で生活保護であった事から、金銭的な負担から考えてもクリミールを継続する事は難しい

それであればと管理栄養士とディスカッションし、主治医に薬品であるエンシュアHコーヒー味の試飲を提案しました

エンシュアHであれば医師の指示があれば医療保険が使えるからです

主治医の了承を得た上で、エンシュアHを飲んで頂くと『これなら飲める』との事

自宅復帰すると外部の在宅医が往診する事が決まっていた為、在宅医に向けてエンシュアHの事を紹介状に書いて下さいとお願いし、自宅復帰後もエンシュアHを中心に栄養摂取出来ていたそうです

担当理学療法士として、このまま体重が減り続け、低栄養が進行すると筋肉量が減り、動作能力が低下する事で介助量が増えてしまう

その結果、患者さんの希望である在宅生活の継続が難しくなると考え、主治医と連携して出来る対応をしたという事ですね

腰痛により、活動量が低下した患者さん

介護保険を使いながら、自宅で生活出来ていましたが、尻もちをついて腰痛が増悪し、動けなくなった為に入院

腰痛さえ緩和すれば早期に自宅復帰出来る(尻もちをつくまでは動けていた為)と考え、理学療法を実施するも思う様に改善せず、活動量低下に伴う医原性サルコペニアが生じてもおかしくない状況でした

理学療法士としては、少しでも効率的にリハビリテーション(自宅復帰)を実現する為に主治医に

『(身体的な問題がなければ)消炎鎮痛剤(痛み止め)を理学療法と併用出来ないでしょうか?』

という提案をし、結果的にOKが出て早期に活動量向上に繋がりました

理学療法士は医師の指示の下で働く職種ではありますが、理学療法士としての意見を医師に伝える事も大切な連携ではないかと私は考えています

チーム医療といっても医師以外の職種は医師に対して気を使っている(並列ではない)のが実情ではないでしょうか?

医師に対しても自分の考えを率直に伝える事が出来る

そういった良好な人間関係の構築が医師だけに限らず、多職種連携において重要なポイントではないでしょうか?

看護師・介護福祉士と理学療法士の連携

看護師に関しては体調面について、介護福祉士に関しては介助量や日々の活動量について確認する事が多いですが、看介護スタッフとは医原性サルコペニアを少しでも防ぐという観点で最も連携する事が多いのではないでしょうか?

以前に書いた医原性サルコペニアに関する記事は↓

要するに理学療法や作業療法、言語聴覚療法の時間だけ頑張れば元気になれるといった安易な発想は通用しないという事ですね

むしろ理学療法や作業療法、言語聴覚療法以外の時間をどう使うかが非常に重要です

看介護スタッフがトイレ動作を介助してくれたり、食事は車椅子に座って食べる様にしてくれたりする事が大切であり、その積み重ねが患者さんを元気にしていくんですよね

看介護スタッフにそういった関わりをしてもらう為には『これくらいなら私達にも出来そう』と実感してもらう事が必要です

その為に療法士に出来る事はなんでしょうか?

個人的にはリハビリテーション室だけで終わらせない事が大切だと考えています

リハビリテーション室だけで理学療法や作業療法を実施していると看介護スタッフに患者さんがどの程度動けるのかを見てもらえる機会が極めて少ないです

カンファレンス等で言葉で現状を伝える事は出来ますが、聞いた事と実際に自分の目で見たものは大きく異なります

言葉で伝えるのではなく、実際に目で動きを確認してもらう

その為には看介護スタッフがいる場所で歩行練習や日常生活動作(トイレ動作等)練習を実施する事も大切ではないでしょうか?

私達が不在の時間に患者さんが安全に動いたり、何事の問題もなく過ごせるのは紛れもなく看介護スタッフのおかげです

昼と夜間では動作能力に差が出る場合もあり、そういった療法士が普段見る事のない部分の情報共有(連携)も大切にしていきたい所ですね

まとめ

今回は多職種連携における理学療法士の役割として、医師や看護師と介護福祉士とどういった連携が必要なのかについて考えてみました

次回以降では管理栄養士、歯科衛生士、ケアマネージャー、福祉用具の事業所さんと理学療法士がどの様に連携出来るのかについても掘り下げてみたいと思います

各職種が点々と存在するのではなく、他職種を知る事で点と点が繋がって線になる、そういったキッカケ作りを今後もしていきたいと思いますし、多職種連携が少しでも前に進むという事は患者さんやご家族にとっても大きなメリットではないでしょうか?

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