医原性サルコペニア~医療が原因の筋量減少&筋力低下~

多職種連携
スポンサーリンク

少し前になりますが、北海道介護福祉士会主催のZoomに参加させて頂く機会がありました

Zoomの中で『医原性サルコペニア』の話をしたのですが、多くの介護福祉士さんが知らないとの事

サルコペニアとは?

サルコペニアは

『骨格筋量の加齢に伴う低下に加えて、筋力または身体機能の低下』

と定義されており、2018年には『骨格筋疾患』としても認められています

療法士だけでなく、看介護にとっても非常に大切なトピック(話題)ですし、前回の低栄養から生じる筋力低下だけでなく、医療が原因で生じるサルコペニアについても1人でも多くの人に知っておいて欲しいですね

医原性サルコペニアは

  1. 病院での不適切な安静(寝かせておく事)や禁食が原因の活動によるサルコペニア
  2. 病院での不適切な栄養管理が原因の栄養によるサルコペニア
  3. 医原性疾患によるサルコペニア

の3つに分けられます

EPSON MFP image

要するに医療現場における不適切な介入によって引き起こされるサルコペニアの事をいう訳ですが、病院で働いた事がある医療介護従事者であれば、何となくイメージがつくのではないでしょうか?

そして地域(通所系サービスや訪問系サービス)で働いている方々も利用者さんが入院して自宅に帰って来たらかなり弱っているという現実を目の当たりにした事があるのではないでしょうか?

『入院・入所したら身体能力(認知面もですが)が落ちる可能性がある』

この紛れもない事実を医療介護従事者はもっと発信していく必要がありますし、一般の方にも知っておいて頂きたい事ですね

理学療法士として病棟スタッフに伝えたい事

Zoomの中で理学療法士としてお伝えさせて頂いたのは、

医原性サルコペニアを少しでも予防する為には『看介護の力が必須』だという事

病棟において、理学療法士が1人の患者さんに向き合える時間は最長でも1時間です

作業療法士・言語聴覚士が各々1時間ずつ関わってくれたとしても計3時間

残りの21時間は看介護が関わってくれている訳ですよね

極論ですが、1時間ガッツリ理学療法頑張った、でも残りの23時間ベッドで寝てました

これで元気になれますでしょうか?

同業者から『バカな事を言うな』と怒られるかもしれませんが、1時間の理学療法よりも、残りの23時間の中で無理のない範囲で動いてもらう(病棟のトイレまで歩いて行く、食事は椅子に座って食べる等)方が確実に元気になります

病棟における療法士の仕事は患者さんの身体機能を把握した上で他職種と連携し『いかに安全に動ける環境を作るか』ではないでしょうか?

看介護の方々に今一度理解しておいて頂きたいのは、

普段何気なくされている仕事は医原性サルコペニアを予防する為の重要な関わり、つまり『リハビリテーションなんですよ』という事です

リハビリテーションを『その人らしい生活を支援する事』とするならば、医原性サルコペニアを予防する看介護の関わりは間違いなくリハビリテーションなんですよね

正直リハビリテーション専門職という名称自体もどうなんだろうと個人的には思っているのですが、リハビリテーションは理学療法士・作業療法士・言語聴覚士だけで実現出来るものではありません

医師や看護師、介護福祉士に管理栄養士、薬剤師といった医療介護従事者だけで実現出来るものでもありません

患者さん自身の頑張り、ご家族の協力も含めて、リハビリテーションは実現に近づくのではないでしょうか?

一方で前回のブログでも触れましたが、低栄養状態(不適切な栄養管理)で頑張って運動すると、かえって弱ってしまう可能性もあります

車で例えるならば、ガス欠の状態で走り続けているのと同じです

そのまま頑張り続けるといずれ走れなくなりますよね

ドラゴンクエストで例えるならば、毒に侵された状態で動き続けているのと同じです

動く度にHP(体力)が減って、いずれは死んでしまいますよね

キャプテン翼で例えるならば、三杉君を使い続けているのと同じです

いずれ持病を持つ心臓に負担がかかり『ガッツ』が足りなくなってしまいます(要するに全く動けなくなる)

思いつく例えがマニアックかつ古過ぎるので、この辺りにしておきますが、

単純に動いてもらえば良いという訳でもないという事は覚えておいて頂きたいですね

最後に疾患によって、消費エネルギーが異なるという事も知っておいて欲しいですね

COPD(慢性閉塞性肺疾患)や慢性心不全、癌等の様に慢性(長期)的に炎症が生じている疾患の場合、消費エネルギーが増えます

急性の肺炎や褥瘡(床ずれ)等でも消費エネルギーが増えますし、パーキンソン病の様に持続的に筋緊張が高く(筋肉が固く)なりやすい疾患でも消費エネルギーは増えるんですよね

単純に消費エネルギーが増えている場合、通常必要なエネルギー量よりも意識的に多くエネルギーを摂取しなければ、弱ってしまう可能性が出て来る訳ですね

こういった側面から考えると、医師や管理栄養士と療法士が連携して、普段どの程度食事摂取出来ているのか、日常の活動量も含め、エネルギー摂取量はどれくらいに設定しているのか、エネルギー摂取量が不足しているのであれば、栄養補助食品(食事のみでは必要量を摂取する事が難しい栄養素を補う事を目的とした食品)を活用するのか、点滴等を活用するのかといった事を判断していく必要性が出て来ます

あくまでも一部分ではありますが、改めて『リハビリテーションはチーム医療』だという事が理解出来るのではないでしょうか?

残念ながら、まだまだ多くの医療現場が医原性サルコペニア養成工場になってしまっていると思います

高齢者にとって『入院・入所はリスクである』という事をまずは医療介護従事者が理解し、多職種が連携して、出来る事は自分でしてもらえる環境をいかに早期に整備出来るかが医原性サルコペニアを少しでも予防する為に必要なのではないでしょうか?

コメント

タイトルとURLをコピーしました