在宅生活を支援するケアマネジャーの本音~訪問リハ・通所リハで働く理学療法士へ~

理学療法士
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前回、前々回のブログでケアマネジャー(以後ケアマネ)の理学療法士に対するアンケート調査(兵庫県理学療法士会が実施)の内容を一部紹介させて頂きました。

前々回は『退院前カンファレンスや退院前情報』と『退院前訪問(家屋評価)』についてのケアマネの声を紹介させて頂き、その声に対して1人の理学療法士としての考えを書かせて頂きました。

前回は『サービス担当者会議』と『訪問リハビリテーションにおいて、作業療法士ではなく理学療法士を指定して依頼した事があるか』についてのケアマネの声を紹介し、同じ様に理学療法士としての考えを書かせて頂きました。

今回は前回の続編として『訪問リハビリテーション』と『通所リハビリテーション』に対するケアマネの声に耳を傾けていきたいと思います。

改めてアンケート調査を読み、感じた事としては利用者さんの在宅生活を支援したいケアマネと患者さんの在宅生活があまり見えていない療法士のギャップ(温度差)が思いのほか大きいなという事。

ギャップを埋めていく事が結果的に利用者ファーストに繋がると思いますので、貴重なアンケート調査を上手く活用していきたいものですね。

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訪問リハビリテーションについて

ケアマネの声としては

  1. ついつい訪問リハを導入すると長年にわたりダラダラとサービスが提供されるケースが多いので、期間を決めて、通所系や社会参加に移行出来る様に一緒に考えていきたい
  2. リハビリのみでは日常生活を改善する事は出来ないので、各関係機関と連携してサービス提供をしていただけたらと思います
  3. 目標設定を支援者、本人と共有しゴール設定を決め、維持する為の継続的なサービス提供は困る
  4. もっと小さな事でいいので情報が欲しいです

①に関しては訪問リハ(看護)を利用する目的が大切ですよね。

自宅での生活が落ち着いた場合、訪問リハよりも活動量が多く、社会的交流も行いやすい通所系サービス(通所介護・通所リハ)を利用したり、趣味のサークル等が身近にあれば、参加してみる事を薦めるかもしれません。

『先生がいなくなると今の生活は維持出来ない』では意味がないんです。

例え訪問リハが終了になってもその人らしい生活が継続出来る。

目指すべきゴールはそこではないでしょうか。

②に関しては訪問リハに限った話ではなく、通所リハや病棟でのリハビリテーションでも同じ事が言えると思います。

ただ訪問においては通所リハや病棟と違って、各職種との接点が極めて少ないので、ケアマネに対して丁寧なフィードバック(情報提供)が必要になって来ます。

こういった場合は月に1度作成する報告書だけでは伝わりきらない事も多いので、電話の方が確実かもしれませんね。

100%そうだとは言い切れませんが、訪問リハや通所リハといったいわゆる生活期において、日常生活を改善する為のキーは理学療法技術ではなく、環境設定と活動量だと考えています。

ケアマネとの連携を考えてみたブログは↓

③に関して、高齢者の現状を維持する為の関わりは間違いなく大切です。

一方で、理学療法士として頭の片隅に置いているのは現状維持をゴールにするのではなく、現状維持に取り組みつつ残存能力を活用して『何が出来るのか』を考え続ける事。

同時に身体機能の改善だけに意識を向けるのではなく、在宅だからこそ出来るリハビリテーションを実践していきたいですね。

④に関しては理学療法士としても情報は欲しいですね。

『こういった動作が出来る様になりました』『この動作時はまだ不安定な部分があるので注意して下さい』といった情報を伝える事は出来る。

一方で他職種からの『実はこんな希望があるみたいです』『最近気付いたんですが、この動作が出来ないんです』といった情報は是非欲しいですね。

例えどんなに小さな情報であったとしても、そういったやり取りが多職種連携のキッカケになる事もあると考えています。

多職種が連携する為には他職種の事を知る必要がある。

私がコミュニティ運営する中で意識している部分でもありますね↓

通所リハビリテーションについて

ケアマネの声としては

  1. 家での生活を意識したリハビリをしてほしい。リハマネ加算はそういった主旨のはずです。実際の住宅環境を想定し、具体的なリハビリもしてほしいです
  2. 通所リハ事業所内の介護職とも連携して頂いて、利用中に有意義に過ごして頂ける様にしてほしい
  3. 軽度者に関しては、在宅でも行えるリハの動機づけをお願いしたい。だいぶ増えて来ましたが、卒業を意識したリハを行ってほしい

①に関してはアンケート調査の『退院前カンファレンス』でも意見として出ていました。

通所リハにおいても家での生活や住宅環境を想定した関わりが出来ていないからこその意見なのでしょう。

例えば、利用前訪問(契約時等)や担当者会議の時間を有効活用出来れば、在宅評価は出来るはずです。

自己満足な理学療法にならない為にも評価出来る機会があれば、積極的に色んな家を見に行って経験を積み重ねて欲しいですね。

理学療法士の当たり前とは異なる、利用者さんオリジナルの動き方や工夫があり、そういった経験が今後の在宅評価や環境整備にも活きて来るんですよね。

在宅評価に不安がある場合は福祉用具専門相談員と連携してみるのもオススメです↓

②に関しては出来る動作としている動作にギャップがあったりする事も多いです。

せっかく介護職がいる環境なのだから、通所リハ利用中はしている動作ではなく、出来る動作に近付ける努力はしたいですよね。

当然ながら出来る動作の方が難易度も高い為、身体機能を高める、廃用症候群を防ぐという観点から考えても効果的だと思います。

一方で自宅に戻ってからはしている動作で良いんです。

通所リハ利用中は難しい動作で動いているからこそ、自宅に戻ってからの動作がより簡単に感じる心理も働く事が考えられます。

③の卒業を意識したリハに関しては色々と考えさせられる事も多いです。

利用者さん本人とご家族が本当に卒業を望んでいるのかは重要なポイントではないでしょうか?

特に社交性の高い女性は通所リハを利用する中で他の利用者さんと友達になったりする事も多いです。

個人的には元気になって介護保険から卒業出来ればそれも良し、いきなり完全に卒業は不安なのであれば、街のサロンやフィットネスクラブに繋ぐも良し(結果的に介護保険からは離れる事にもなる)そのまま通所リハを利用し続けるも良しだと考えています。

医療介護従事者側の意見の押し付けではなく、あくまでも利用者さんの意思を最優先に動いていければいいなと考えています。

全国には通所リハを卒業し、そのまま通所リハの運転手として働いておられる様な方も実際におられます。

元気になったら終わりではなく、その先まで考えられる様な理学療法士でありたいものですね。

まとめ

今回は『訪問リハビリテーション』と『通所リハビリテーション』に対するケアマネの本音を紹介すると同時に私なりの考えを書かせて頂きました。

兵庫県理学療法士会が兵庫県介護支援専門員協会に対して実施したアンケート調査を基にして、結果的に3つの記事を書かせて頂きました。

本当は他にも色んな本音が書かれていますし、当然ながら良かった点も紹介されています。

興味がある方は時間のある時に全てのアンケート調査に目を通してみて欲しいですね↓

https://hyogo-pt.or.jp/hyogo-pt-wp/wp-content/uploads/e5e065c95112eaabb8b7fc8ec370e44c.pdf

こういった有意義なアンケート調査は自分達の仕事を振り返る良いキッカケになると思います。

より良い退院支援、生活支援が行える様に、これからも他職種の声に真摯に耳を傾け、積極的にアドバイスを求めていきたいですね

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