長い間生活期領域(療養型病院含め)で働いていますが、ケアマネージャー(以後ケアマネ)との円滑な連携は効率的なリハビリテーションに繋がると考えています
むしろ経験年数の浅い理学療法士が退院前訪問(自宅に帰る前の事前訪問)に行くと、ケアマネや福祉用具専門相談員さんの方が適切な環境設定をしてくれる可能性もあるのではないでしょうか?
個人的には各々の職種の強みを活かして、より良い環境設定が出来る事が何よりもの患者ファーストであり、利用者ファーストではないかと考えています
今までに医師や看護師、介護福祉士との連携について↓
管理栄養士との連携について↓
歯科衛生士との連携について↓
まとめて来ましたが、今回はケアマネと理学療法士はどの様に連携しているのかを掘り下げてみたいと思います
ケアマネからの情報収集
ケアマネの大切な仕事の1つがケアプランの作成です
私自身は理学療法士の視点から介護サービス(訪問介護や通所リハ等)の提案等もする様にしています
当然ながら介護サービスを利用するにあたっての優先順位や金銭的な問題もあると思いますので、その辺りはケアマネに相談しながら決めていく事が多いです
特に金銭的な事や家族関係(関係性が良好なのか不良なのか)についてはこちらから触れにくい内容でもある為、ケアマネから情報を頂く事も多いです
理学療法士とケアマネの連携に関する3つのポイント
個人的に理学療法士としてケアマネともっと連携出来ればいいなと感じる事が3つあります
- 入院に至るまでの過程
- 入院前の動作レベル
- どの状態まで回復出来れば自宅に戻れるのか?
これは必ずしもケアマネからリハ職に対して連携(情報提供)して欲しいという事ではなく、必要に応じてリハ職からケアマネに対して情報提供を求める事も大切ではないでしょうか?
入院に至るまでの過程
在宅からの入院であれば、体調を崩して弱り切った状態で入院して来たのか、体調を崩してすぐに入院して来たのかは理学療法士として非常に重要な情報です
前者であれば廃用で弱っている事が予測出来ますし、後者であれば廃用の部分が少ない事が推測出来るからです
更に痩せて入院して来たのか、体重に大きな変動はなく入院して来たのかも確認しておきたい部分です
致し方ない部分はあれど、医療介護従事者はどうしても入院して来た時の患者さんを中心に今後の事を考えがちですし、以前の私の様に栄養に興味がなければ入院前の体重になんて意識が向かない可能性もあります
身長や標準体重を基準に考えた結果、低栄養が疑われるのであれば、最初に必要なのは積極的な筋力増強運動や運動療法ではなく、栄養摂取かもしれませんよね
理学療法士がリハ栄養を学んだ方が良い理由については↓
入院前の動作レベル
先程までの内容と被る部分も多いですが、入院前はどの程度動けていたかという情報は今後の理学療法プログラムを考える上で重要だと考えています
入院前の屋内歩行が独歩自立なのと手すり等を使用しての歩行では目指す歩行手段も変わって来る可能性があるからです
更にあれば有難い情報が『いつ頃まで動けていたのか』
1週間前まで歩けていたと昨夜まで歩けていたでは、歩行手段再獲得までの時間も異なってくる(廃用の程度が異なる為)からですね
歩行だけでなく、排泄動作や入浴動作等、高度な能力が求められる生活動作がどの程度、どうやって出来ていたのかの確認も必要ではないでしょうか?
排泄動作を1人で出来るかどうかは自宅復帰を考える上で、非常に大切なポイントだと考えています
どの状態まで回復出来れば自宅に戻れるのか?
ご家族に限らず、主たる介護者がどういった状況なら受け入れ可能なのかを知っておく事で無駄の少ない理学療法を提供する事が出来るからです
私自身としては、入院前の状態に100%戻ってない状態でもご家族が受け入れ可能な状態になれば(主治医の了承があれば)自宅復帰してもいいのではないかと考えています
当然ながら、理学療法士として環境調整をしっかりとした上でではありますが。。。
ご家族は入院中に『集中的に理学療法を受けた方がいい』と思われている部分が大きいかもしれませんが、入院しているとどうしても臥床している(横になっている)時間が長くなってしまう傾向があり、医原性サルコペニアに繋がる可能性があります
それであれば、自宅に戻り、半ば動くしかない状況に身を置いた方が効率的に元気になる可能性があるからです
回復しきれなかった分は在宅生活を続けながら、通所リハや訪問リハを活用する事で元気になれば良いのではないでしょうか?
まとめ
今回は理学療法士とケアマネの連携について、その中でも理学療法士として欲しい情報について掘り下げてみました
一方で知人のケアマネから時折耳にするのが↓のツイートの様な話
実際に168施設のケアマネが理学療法士に求めている事(アンケート)については↓
https://hyogo-pt.or.jp/hyogo-pt-wp/wp-content/uploads/e5e065c95112eaabb8b7fc8ec370e44c.pdf
個人的には理学療法士として他職種と連携する上で大切にしている事が2つあります
- その場で必要とされている内容を話す事
- 他職種やご家族にもわかる様に伝える事
難しい内容を難しく語るのは誰でも出来ますよね
難しい内容をいかに噛み砕いてわかりやすく伝えられるかが連携においては大切なのではないでしょうか?
理学療法士とケアマネが上手くお互いの情報を共有しながら連携する事が出来れば、効率的なリハビリテーションに繋がるだけでなく、その後のスムーズな医療介護連携にも繋がっていくのかもしれませんね
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