私は以前から不思議に思っている事がありました
プライベートでイヤな事があったり、仕事でミスして落ち込んでいる時等、何となく気分が乗らない時ってありますよね?
本当はオンとオフをしっかり切り替えて仕事に臨むべきだと頭では理解していても、人間なので上手くいかない時もやっぱりあります
でも、仕事をしながら患者さんや利用者さんとたわいもない話をしていると気持ちがスッキリして来るんですよね
医療介護従事者として話を聴く事の重要性をまとめた記事は↓
私は理学療法士として患者さんや利用者さんを支える(サポートする)立場ではありますが、逆に私が患者さんや利用者さんに支えられているなと感じる事が今までにも数多くありました
今回は自分自身の経験から、患者さんや利用者さんの不安やストレスを和らげる方法を考えると同時に、何故、話を聴いてもらえると気持ちがスッキリするのかについて深掘りしてみたいと思います
話を聴いてもらう事で気持ちがスッキリする理由が判明
実は脳機能イメージングを使った研究により、言語情報が脳に流入して来る事で脳の『扁桃体』という不安と関連する部位の興奮が落ち着いて来る事がわかっています
扁桃体が不安と関連するという事は脳科学の研究でわかっており
『扁桃体の興奮』=『不安』
という図式が成り立ちます
精神的に不安定な人は、ストレスに長期にわたってさらされた為に扁桃体の興奮のスイッチが持続的にオンになって戻らなくなってしまった状態だと考えられているそうです
逆に考えるならば、扁桃体の興奮を鎮める事が出来れば不安を減らせるという事に繋がりますよね
更に扁桃体の興奮が抑制される事で、気分が改善するだけでなく、決断能力が高まる事も観察されたそうです
私が患者さんから多く頂く言葉の1つとして『先生と話をしているとスッキリする』というのがあります
おそらく私が患者さんと話をしていてスッキリするのと同じ感覚なんだと思いますが、その背景にも扁桃体が関係している可能性が高いですね
『身体もスッキリ、心もスッキリ』
決して簡単な事ではありませんが、患者さんや利用者さんにそう感じてもらえる様な仕事が出来る理学療法士でありたいですし、心がスッキリする事で心理社会的疼痛(以前の心因性疼痛)にも少なからず良い影響があるのではないでしょうか?
話を聴く事と運動療法(身体を動かす事)を組み合わせれば、慢性疼痛にも効率的にアプロ ーチ出来る可能性もあります↓
話を聴く側の気持ちもスッキリする
脳への言語情報の流入というのは『話す』『聴く』『読む』等、様々なパターンがあるとは思いますが、私の場合、仕事中は意識的に聴き手に回る事が多いです
自分自身が話すというよりは、相槌を活用しながら患者さんや利用者さんの話を聴き、出て来た情報を頭の中で整理しつつ、常に次の質問、展開を頭の中で考え続けています
いわゆるフォローアップクエスチョンというテクニックを利用しているのですが、
結果的に話す側ではなくても、多くの言語情報が流入してくる事に繋がり、患者さんや利用者さんだけでなく、自分自身の気分も落ち着いてくるのではないかと今は解釈しています
初対面の人とでも会話に困らないフォローアップクエスチョンに関しては↓
まとめ
今回は患者さんや利用者さんの不安やストレスを和らげる方法として話を聴くという事を紹介し、同時に何故、話を聴く事で気分がスッキリするのかを深掘りしてみました
理学療法士は話を聴く事が主な仕事ではないと思いますが、精神面の支援も大切な仕事ではないでしょうか?
話を聴く事で精神面が落ち着いて来るのであれば、それを使わない手はないと個人的には思います
療法士として意識的に聞き手に回る→患者さんや利用者さんに気持ち良く話をしてもらう→話す事で患者さんや利用者さんは快楽を感じるだけでなく、多くの言語情報が流入して来る事で扁桃体の興奮が落ち着き、スッキリする→話を聴きながら、質問を考え、投げ掛ける事で多くの言語情報が流入して来る→扁桃体の興奮が落ち着き、スッキリする
相手に気持ち良く話をしてもらう為に相槌は大切になりますが、相槌のバリエーションについてまとめた記事は↓
要するに、患者さんや利用者さんとのコミュニケーションを楽しむ事は、お互いにとってプラスに働く(気分がスッキリする)可能性が高いという事ではないでしょうか?
療法士を含む、医療介護従事者にとって知識や技術を学び続ける事も大切ですが、対人援助職として、もっと『話を聴く』事に意識を向けてみる事も必要ではないでしょうか?
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