孫の結婚式に参加したいという入院患者さんのリハビリテーションを実現する為に私も患者さんもご家族も精一杯準備し続けて来た成果か結婚式当日はまさしく結婚式日和の晴天に恵まれました
結婚式当日を迎えるまでの過程は↓のブログにまとめてあります
今回は結婚式当日にサポートする側の私達がどう動き、どう感じたのかを紹介させて頂きます
結婚式会場に向けて出発
少しだけ心配していた患者さんの体調も朝確認すると安定しており、一安心
救命救急士の資格を持つ介護タクシーの業者さんと合流し、孫の結婚式ではこれを着ると決めていたドレスを身にまとった患者さんはティルト&リクライニング式の車椅子のまま介護タクシーに乗り込みました
万が一の渋滞を見越して早めに病院を出発し、道中で同行してくれる看護師と合流し、いざ会場へ向かって出発
実は私自身、介護タクシー初乗車だったのですが、体感した感想としては運転含め、仕事がとにかく丁寧
多少の振動は致し方ないとはいえ、腰痛を抱える患者さんに対する声掛けや気配り含め、本当に配慮が行き届いているなと感じる時間でした
実は移動中に患者さんに少しでもリラックスしてもらいたいとBluetooth対応のスピーカーから音楽でも流そうと思っていたのですが、車内には既に落ち着いたJazzが流れており、ここに関してもよく考えているなと思いました
幸い渋滞もなく会場には早めに到着
動線の確認と写真撮影前のメイク
人混みを避ける為に車中で待機して頂いている間に連絡を取り合っていた会場のウエディングプランナーさんと合流し、動線(会場内の経路や動き方)を確認
本当は事前に確認しておくべきなのですが、どうしても時間を作る事が難しかった為、事前に最低限の情報を収集しておいた上で現地で再確認し、車椅子に乗ったまま動ける事を再確認
ご家族にも改めて挨拶を済ませ、オンライン挙式の為のタブレットと途中で休憩するルームキーとお部屋で食べる御座候(患者さんが好きな食べ物)を受け取り、車に戻りました
再度介護タクシーの業者さん、看護師と当日のスケジュール、動き方を確認していると、親族の方が患者さんに写真撮影前のメイクと髪の毛を整えに来て下さいました
記憶だけでなく、今後記録に残る1枚ですから綺麗に映ってもらいたいですもんね
お孫さんとの記念撮影
予定時刻が来た為、まずはお孫さんとご主人さんが挙式前の写真を撮っている部屋に入ると、そこにはウエディングドレスを身にまとったお孫さんが。。。
お孫さんを見つめる患者さんの表情が崩れ、既に泣きそうな表情
患者さんに『頑張って来てくれて本当にありがとう』と声を掛け、涙を拭うお孫さん
この光景を目の前で見た瞬間、心から来て良かったと感じましたし、この日、この瞬間を迎える為に地道に動き続けて来て良かったと感じました
同時に『あぁ、私がやりたいリハビリテーションってこういうものだ』と強く感じました
『誰に何と言われようと関係ない。こういう関わりもリハビリテーションの1つの形なんだ』
患者さんとお孫さんの笑顔と涙を見てそう感じました
そのままお孫さんとご主人さんの間に入り、記念撮影
看護師がさりげなく、髪型を整え、私がティルト(後方に傾けていた)していた車椅子を起こしました
患者さんはあまりの嬉しさに満面の笑顔だけでなくピースサイン
写真を撮るスタッフ達の『それ最高ですね』『ステキな表情』という声掛けと共に、きっと一生思い出に残るいい記念写真が撮れたと思います
お部屋でのオンライン挙式と御座候
時間はあっという間に過ぎ、写真撮影が終わると、休憩する部屋へ移動
移動中に『記念すべき日に参加出来て良かったですね』と声を掛けると『ありがとう』と笑顔
お部屋に到着後はこの後のスケジュールの事も考え、ベッドに移乗してひと休み
オンライン挙式までの時間は理学療法士として腰痛緩和の為のアプローチを実施しました
挙式が始まる少し前に再度ティルト&リクライニングの車椅子に移乗し直し、お部屋のジュースをゴクゴク飲み、預かった御座候(今川焼)を『美味しい』とペロリと平らげました
正直、私の考えの中にお部屋で何かを食べるという発想はありませんでした
病棟の看護師と結婚式に向けての話をしている時に
『せっかくの外出、結婚式なんだから何か好きな物でも食べれたら良いのにね』
という提案がありました
確かにそうだなと感じた私は『お部屋で何か軽く食べてもらおうかなと考えているのですが、お好きな食べ物はありますか?』とお孫さんに確認を取り、その結果が御座候でした
少しだけ嚥下機能が気になった私は言語聴覚士に確認を取り、よく噛んで食べれば大丈夫との判断を聞いてから最終的に院長に相談に行きました
結果、見守りの下であれば大丈夫との判断があり、御座候は実現出来ました
提案してくれた看護師、協力してくれた言語聴覚士、最終的にOKして下さった院長のおかげで患者さんの満足度も高まったと思います
オンライン挙式は会場とお部屋をLINEで繋ぎました
少しWi-Fiが不安定な場面もありましたが、お孫さんの晴れ姿をリアルタイムで見る事ができ、その姿を見て、改めて涙を流しておられました
現地参加に比べると臨場感等が劣るのは当然ですが、オンラインであれば場所を超越する事は可能です
今後、理学療法士として同じ様な経験が出来る機会に恵まれるかはわかりませんが、オンラインで入院していながら様々なイベントに参加するという形もありだなと再認識する事が出来ました
親族との集合写真&帰院
オンライン挙式が終わると、標準型車椅子に乗り換え、親族との集合写真を撮りに移動
標準型車椅子での写真撮影はお孫さんの希望でもありました
短時間であれば標準型でも大丈夫という判断はしていましたが、ひ孫さんに笑顔を見せる余裕もあり、全く問題なく写真に納まる事が出来ました
帰り際には小さなひ孫さんから『早く元気になってね』と声を掛けられ、また笑顔に
理学療法士として何度も体感して来ている事ですが、家の力、家族の力、孫やひ孫の力は本当に凄いなと改めて感じました
これで参加予定のスケジュールは無事に終了
最後のティルト&リクライニング式車椅子への移乗を終え、ご家族とプランナーさんに挨拶を済ませ、病院に向けて会場を出発しました
帰りの介護タクシー内では眠っておられ、いつもとは明らかに違う時間の過ごし方に疲れたんだろうなと思う反面『大きな問題なく参加出来て良かった』と感じる自分がいました
サポートする側の3人も多少なりとも疲労感はあったと思いますが、それ以上に充実感が勝っていたのではないでしょうか?
患者さんとご家族のリハビリテーションを実現出来た喜びを共有するだけでなく、自分達の仕事に対するモチベーションまでが上がる、そんな素敵な時間であった事は間違いありません
患者さんは無事に帰院され、その後疲れの影響かいつも以上に寝ておられる時間は長かった様ですが、発熱したり、強い腰痛を訴える事もなかったとの事
本当によく頑張って下さいました、お疲れ様でした
まとめ
今回は結婚式当日にサポートする側としてどう動き、どう感じたのかをまとめてみました
結婚式の後日の事を含め、振り返ってみた続編記事は↓
患者さん自身が頑張られた事が1番の理由ですが、介護タクシーの事業者さんと知人の看護師、この2人の協力なしに患者さんのリハビリテーションを実現する事は出来なかったと思います
本当に心から感謝しています
同時になかなか経験する事の出来ない貴重な経験を共に味わえた事は本当に嬉しいですね
全国にはこういったリハビリテーションを実現したいと考えている療法士、医療介護従事者はいるのではないでしょうか?
今回の経験が他の療法士や医療介護従事者の参考になれば嬉しいですし、まずは実現している事例があるという事が大切だと私は考えています
お孫さんへの『結婚おめでとうございます』という気持ちと理学療法士として一生忘れる事のない経験が出来たという感謝の気持ちを上手く表現してくれている名曲を紹介して今回はここまでにしたいと思います
ステキな瞬間に参加させて頂き、本当にありがとうございました
そして心よりおめでとうございます
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