新卒の理学療法士の就職先について考える~18年間理学療法士として働いてみて~

理学療法士
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先日、春から理学療法士として働く可能性がある学生さんのツイートを見かけました

要するにこれといって進みたい道もなく、どういった所に就職した方が良いのかがわからないという事だと思います

そもそも論ですが、圧倒的過半数の学生達がこういった状態なのではないでしょうか?

少なくとも私自身は、臨床実習で関わらせて頂いた患者さんが中枢性疾患(脳梗塞や脳出血等)ばかりだった為に『何となく』中枢性疾患が担当出来る病院がいいなくらいは思っていましたが、明確な意思があった訳では到底ありません

結果的に理学療法士として18年間働く中で3回職場を変え、入院(急性期~生活期)、外来、通所リハ、訪問リハ、整形外科クリニックと様々な領域を経験して来た現時点での私の価値観としては

『回復期の病院』または『急性期から生活期まで幅広くフォロー(経過を追う事が)出来る)病院』

が良いのではないかと考えています

就職先に悩む学生達は今後も一定数いると思いますので、今回は新卒の理学療法士の就職先について掘り下げてみたいと思います

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回復期の病院をオススメする3つの理由

大前提としてお伝えしておきたい事は『正解はない』という事

どうしても通所リハで働いてみたい、訪問リハで働いてみたいという強い想いや志があるのであれば、飛び込んでみても良いと思います

ただ過去の私の様に『ただ何となく』程度の意思であったり、皆目見当がつかないのであれば、私ならばこういった助言をするかなという話ですね

私が『回復期の病院』をオススメする理由は3つあります(『急性期から生活期まで幅広くフォロー(経過を追う事が)出来る)病院』に関しては最後に述べます)

  1. 患者さんが回復していく過程を体感出来る可能性が高いから
  2. 在宅を評価出来る様になるから
  3. 介護保険や福祉用具についても考える機会が多いから

1つずつ掘り下げていきましょう

患者さんが回復していく過程を体感出来る可能性が高いから

理学療法士としてどういった部分にやりがいを感じるかは人それぞれですが、私を含め、多くの理学療法士は患者さんが元気になり、患者さんご自身やご家族が喜ぶ姿を見る事に喜びであったり、やりがいを感じるのではないでしょうか?

そういった経験を早く、数多く体感しやすいのが回復期の病院ではないかと私自身は考えています

回復期であれば1人の患者さんにじっくり向き合える(最長3単位1時間)のも大きいと思います

患者さんやご家族が喜ぶ姿、いわゆる成功体験は理学療法士としての自信にも繋がりますし、前に進んでいる(理学療法士として成長している)感覚がモチベーションを高める事もわかっているからです

患者さんやご家族が喜ぶ姿を見る→理学療法士として嬉しい→もっとこういった経験をしたいと思う→より勉強を頑張れる原動力になる→喜ぶ患者さんやご家族が増える(成長を実感出来る)

こういった良のスパイラルを上手く回せる様になれれば最高ではないでしょうか?

在宅を評価出来る様になるから

自宅復帰する患者さんも多くいると思いますので、家を見に行く機会は自ずと増えると思います

数多くの家を見に行ける事、そして評価出来る事は理学療法士としての今後の武器になると私自身は考えています

Aさんの家を経験していた事が全く関係ないBさんの退院前訪問で活きるなんて事はよくある話です

患者さんの多くは養成校で学んで来た様なスタンダードな動き方をしていません

『え?こんな起き上がり方をするの?』と驚かされる事もあれば『こんな移動の仕方があるなんて』と気付かせて頂く事も多いです

高齢者は何とか自分で動ける様になりたいと必死なんですよね

『先生は理学療法士ではなく、患者さん』

こういった表現を時折見かけますが、確かにそうだよねと納得している自分もいます

患者さんを通じた学びや気付きをこれから巡り合う患者さんに活かす

それが動きづらい身体を使って、私達に教えて下さった患者さんに対する恩返しではないでしょうか?

患者さんやご家族に対する問診だけで家の中を明確にイメージ出来る人なんてほぼいないと思います

時間を使って、実際に自分の目で見に行き、評価する

その経験を自宅復帰するまでの理学療法プログラムに還元する事で、少しでも自宅に帰ってからの生活が安定する様にしたいものですね

介護保険や福祉用具についても考える機会が多いから

自宅復帰は大きな目標ではありますが、そこがゴールではなく長期に渡り、自宅で生活出来る環境を整える為に介護保険や福祉用具についても知識を学んでおく必要があります

入院時の介護度はどの程度なのか?

その介護度は現状の患者さんに適しているのか?

ご家族の介護負担を考える上で、自宅に帰る為にはより多くの介護サービスが必要だとするならば、早い段階で改めて認定調査(再申請)を依頼する事も必要でしょう

現状能力では自宅での入浴が環境的に難しいのであれば、通所系サービスの利用、訪問介護入浴の利用、訪問介護でサポートしてもらいながらの入浴も選択肢としてはあるでしょう

自宅改修(手すりの取り付け工事等)も初回ならば20万円までは1割負担で行えますし、改修しなくても座る事と身体の向きをご自身で調整する事が出来れば、電動で浴槽内に沈んでいく様な福祉用具もあります

介護保険やケアプランに関してはケアマネージャーにお任せではなく、福祉用具に関しては福祉用具貸与事業所にお任せではなく、動作能力を1番把握出来ている職種として、どの職種よりも患者さんとのコミュニケーションを密に行える職種として、患者さんにとってより良い提案を出来る人でありたいものですね

世間一般だけでなく、この記事を読んで下さっているかもしれない新卒を含む理学療法士も

リハビリテーション=機能回復訓練

という捉え方をしているかもしれません

例え身体機能が改善しなくても、現状の能力と自宅環境を把握し、介護サービス等を調整して安全に生活出来る環境を整備出来た

そういった関わりもリハビリテーションだという事を決して忘れないで下さい

まとめ

今回は新卒の理学療法士の就職先として、回復期の病院が良いのではないかという事を3つの理由を添えてまとめてみました

もう1つの『急性期から生活期まで幅広くフォロー(経過を追う事が)出来る)病院』に関しては何年か毎に急性期や回復期、生活期と経験出来る領域を変わる事が出来るのであれば有意義ではないかと考えます

色々な領域を経験する事で自分にあった領域はどこなのかがわかる可能性があるからです

これは新卒の理学療法士に限った話ではありませんが、自分が関わった後の患者さんがどうなったのかを知る事も非常に大切です

自宅に帰れたから終わり、回復期に転院出来たから終わりではなく、自分がして来た関わりが次のステージでどう活きているのかまで追う意識を持って下さい

病棟で出来ていた事が自宅では出来ていない

それはリハビリテーション(その人らしい生活を支援する事)としては不十分なのではないでしょうか?

何故、自宅では出来ない理由を考え、出来る対応をする

そういった経験さえも今後に活きて来るのではないでしょうか?

あくまでも理学療法士として18年間働いて来た1人の男の価値観にはなってしまいますが、この記事を書くに辺り、作業療法士や言語聴覚士も含め、色んな人達と意見交換して来た事も伝えておきます

養成校での勉強、臨床実習、卒業試験、卒業研究、国家試験と数々のハードルを越えて、ようやく理学療法士になれた事と思います

少なくとも私自身は理学療法士という仕事が好きです

新卒の理学療法士の皆さんが春から充実した日々を送れる事を心より願っています

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