『あなたは理学療法士に向いていない』
『あなたに理学療法士になって欲しくない』
臨床実習で私が臨床教育者に言われた2つの言葉
今でも向いているかは私自身にはわかりませんが、18年間働き続けられている事、理学療法士という仕事が好きな事、少なからず頼りにしてくれる患者さんがいる事を踏まえて考えると『不向き』ではなかったのかなと思っています
臨床実習に不安がある学生さんは↓の記事も参考にしてみて下さい
臨床実習に不合格になってしまった人は↓
初めて臨床教育者をする人は↓
そもそも臨床教育者に限らず、目の前の人の能力を正確に評価出来る人なんて本当に実在するのでしょうか?
12社に断られたハリーポッターと賢者の石
実は様々な例や大学の研究から極めて難しい事がわかっています
まずは2人の偉人を例えに考えてみましょう
1人目は『ハリー・ポッター』シリーズのJ・Kローリング
第1巻『ハリー・ポッターと賢者の石』は瞬く間にベストセラーになり、73の言語に翻訳
シリーズ世界累計発行は4億5000万部以上で史上最も売れたシリーズ作品です
ローリングの収入・総資産は1000億円以上と言われ、歴史上最も多くの報酬を得た作家でもあります
そんな彼女は成功するまでに多くの苦労を経験しています
離婚した後、シングルマザーとして子供を育てるも生活は困窮生活保護に頼って暮らしていたそうです
友人に借金をし、うつ病になり、自殺も考えたそうですが、自分を信じてハリーポッターを書き続け『ハリー・ポッターと賢者の石』がようやく完成
出版社に原稿を持ち込むも12社に断られ続けます
そんなある時、たまたまある出版社の編集者が自宅に原稿を置いていると、8歳の子供が勝手に原稿を読み『これは他のどんなものよりもずっと素敵』と言ったそうです
その結果、契約が実現するも契約金は日本円にして20~25万円程度
初刷りはわずか500部で殆ど広告宣伝はなし
つまり『売れる』と思われてなかった訳ですね
1009回断られたケンタッキーフライドチキン
2人目は『ケンタッキー・フライドチキン』のカーネル・サンダース
若い頃は転職を繰り返していたサンダースは40歳を過ぎてからKFCの前身となる『サンダースカフェ』という小さなレストランをオープンしたのですが、この店が美味しいと評判になります
しかし、成功したこの店舗が火災に遭い挫折
その後、車のドライバー向けのレストランで、また小さな成功を収めますが、新しい道路が出来た事で車の流れが変わり、結局その店舗も倒産させてしまいます
既に65歳になっていたサンダースの手元にあったのは『ケンタッキー・フライドチキン』のレシピのみ
サンダースは自信のあったそのレシピを売り込み始めるのですが、何と1009回も交渉相手に断られ続けたそうです
つまり『売れる』と思われてなかった訳ですね
私に対して『療法士に向いていない』と判断した臨床教育者は1人ですが『ハリー・ポッター』は12社
『ケンタッキー・フライドチキン』に関しては1009回と私より遥かに多い人が『売れない』と烙印を押している事になります
ペンシルバニア大学が実施した専門家の予想の精度に関する研究
もう1つはペンシルバニア大学が専門家の予想の精度に関して調べてくれています
研究チームは1984年から2003年にかけて学者、評論家、ジャーナリスト等248人の専門家を集め、3~5年後の経済や企業の状況、政治等がどうなっているかを予想させました
専門家の予想が正しいのかどうかを調べた研究としては、かなり精度が高い内容です
最終的に集まった28000超の予測データ全てをまとめた所、結果は
『専門家の予想はほぼ50%の確率でしか当たらない』
というものでした
要するにどれだけ知名度のあるエキスパートであっても、教育に関する専門家であっても、予想の精度はコイン投げ(表か裏)と変わらないという事になります
ヤクザ映画で出て来る賭場の丁半(はんかちょうか的な)と同じ確率な訳ですね
この研究で集められている専門家はその道のプロなのだと思いますが、臨床実習の臨床教育者は『教育』のプロではない事を踏まえると、もっと予想の精度は下がる可能性だって考えられます
全国の実習生と全国の臨床教育者へ
2つの実例、研究から考えても、人が目の前の人の能力を正確に推し量る(評価する)事は困難だという事が予測されます
全国の実習生の皆さん
臨床教育者に『療法士に向いていない』と言われても、聞き流しておいて下さい
同じ様に言われるだけでなく『不合格』の烙印まで押されても、その後療法士として大活躍している人は数多くいます
全国の臨床教育者の皆さん
実習生に『療法士に向いていない』と根拠もなく言い放つのは止めませんか?
スカウターで実習生を見た時にあなたはこう思っているのかもしれません
『戦闘力たったの5か、ゴミめ。。。』
でも目の前の実習生は戦闘力をコントロール出来るタイプなのかもしれませんよ
スカウターという色眼鏡を介して実習生を見下すラディッツではなく、ナメック星の最長老の様に本来持っている能力を最大限引き出せる臨床教育者を目指しませんか?
まとめ
今回は臨床教育者は実習生の能力を正確に評価出来るのかという事について改めて考えてみました
少なくとも18年前、私が実習生の時代は臨床教育者が不可(向いていない)と判断=臨床実習不合格という形でした
時が経ち、今は臨床実習の合否の最終決定権を養成校が持つのが当たり前になって来ています
臨床教育者といっても1人の人間です
多かれ少なかれ人として相性があう、あわないは出て来るでしょうし、実習生との人間関係が評価に反映される可能性も0ではないでしょう
そういった視点から考えても、臨床実習の合否の最終決定権を養成校が持つ(本来実習は養成校のカリキュラムなんです)事は良い事だと私自身は考えています
臨床教育者に限らず、実習生と接点がある全ての療法士は自分自身の実習生に対する評価は間違っている可能性が高いという事を忘ない様にしましょう
コメント