少し前になりますが、ご縁を頂き、自立支援特化型デイサービスポラリスの代表取締役である森剛士先生のオンライン講演を拝聴する事が出来ました
前回『病気で弱るのではなく、病気+廃用症候群で弱る』という記事を書きましたが、病気+廃用症候群という表現は森先生が講演会の中で使われていた言葉でもあります
少し前の動画になりますが、医療介護従事者、特に高齢者に関わる仕事をされている方には是非一度聴いてみて欲しい講演ですので、お時間ある時にどうぞ
ご存じない方もいるかもしれませんので、簡単に紹介すると、ポラリスは全国に60か所以上あるデイサービスなのですが、ポラリスで働く療法士は全国で『たったの2人』
しかし、私が知る限りでは日本で1番介護 保険からの卒業を実践(500名以上)しているデイサービスです
理学療法士として感じた違和感
要するに療法士不在の中、介護職の力だけで卒業まで改善させているという紛れもない事実
私も初めて聴いた時は何とも言えない気持ちになりましたが、今は多くの医療介護従事者に医師が匙を投げた、『一生良くなりません』と言われた利用者が劇的に変化する事実を知って欲しいと思っています
その一方、森先生の講演を聴いて不機嫌になる療法士がいるそうです
理由は『専門領域に踏み込んで来られた』から
つまり、自分達のフィールド(リハビリテーション)に介護職が入り込んで来たという認識なのだと思います
私は正直その話を聴いて愕然としたのですが、今回は1人の理学療法士としての意見をハッキリと書かせて頂きます
理学療法士として大切にしている視点
『あなたは何の為に療法士として働いているのですか?』
全国で多くの利用者さんが元気になり、本人もご家族も喜ばれている
患者ファースト、利用者ファーストの視点で考えるならば、とても素晴らしい事なのではないでしょうか?
『それは療法士の仕事』
残念ですが、そんな風に感じる療法士の方が多いのでしょうか?
それは療法士としての『プライド』でもなんでもなく『エゴ』ではないでしょうか?
療法士として、プライドを持って仕事をする事は素敵な事だと思います
ですが、理学療法士として患者さん、利用者さんファーストの視点は失ってはいけない部分ではないでしょうか?
多くの療法士が出せていない結果(介護保険からの卒業)を、介護職が出しているという現実
それを突きつけられた時に療法士が感じる感情は『怒り』ではなく『焦り』であって欲しいなと私は感じました
人間だから怒ったっていいんです
ただその怒りの感情は介護職に向けるのではなく、反骨精神として自分が成長する為のエネルギーに変えてみて欲しい
人間だから焦ったっていいんです
少なくとも私は焦りましたから
ただ焦るだけでなく、療法士らしく『何故、そんなに劇的に良くなるんだ?』と考えてみて欲しいし、何だったら森先生や近くにあるポラリスに問い合わせてみてもいいのではないでしょうか?
自分達にはない価値観や思想は批判するではなく、少しでも患者さんや利用者さん、忘れてはならないご家族の為になるのであれば、取り入れられるものは取り入れる
そういった柔軟な思考を持てる療法士でありたいものですね
少し話はズレるかもしれませんが、患者さんや利用者さんのリハビリテーションが実現出来るのであれば、職種や職域なんて関係ないと思いませんか?
療法士業界でも『職域』についてよく話題になりますよね
例えば、基本動作(寝返り~歩行)については理学療法士、日常生活動作(食事や排泄、入浴等)については作業療法士的な住み分け
個人的には日常生活動作に強い理学療法士がいてもいいと思っていますし、基本動作に強い作業療法士がいてもいいと思っています
大切な事は職域を厳守する事ではなく、対象者の為に何がベストなのかをチーム全員で考え続ける事ではないでしょうか?
対象者が求めている事に対してベストなパフォーマンスを出せるのが作業療法士なのに職域の為に理学療法士しか対応出来ないなんておかしいと思いませんか?
お互いの強みと弱みを理解しあった上で、その時点で提供出来る最高のサービスを提供する
それがチーム医療であり、連携なのではないでしょうか?
まとめ
今回は理学療法士として大切にしている視点について書いてみました
療法士として患者ファースト、利用者ファーストの視点を忘れず、リハビリテーション実現に向けて今の自分が出来る事は何なのかを考え続けられる療法士でありたいと思います
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