医療介護従事者であれば『多職種連携』という言葉を1度は聞いた事があるのではないでしょうか?
それくらい大切な事でありながら、今も声高に叫び続けられている
それは何故か?
未だに多職種連携が上手くいっていないからではないでしょうか?
私は多職種連携を目的としたコミュニティ『関西セラピスト交流会』を運営しています
関西セラピスト交流会に関しては↓
単なる飲み会からスタートしたコミュニティですが、運営し続ける中で『多職種連携』を意識する様になり
『【多】職種が連携する為には【他】職種の事を知る必要がある』
と感じる様になりました
今回は理学療法士として18年、医療現場で働き続ける中で感じた事、他職種と交流する中で感じた多職種が連携する為の5つのポイントをまとめてみたいと思います
情報と目的の共有
まずもって勘違いしてはいけない事は多職種連携は『手段』であって『目的』ではないという事
目的、違った捉え方をするのであれば、リハビリテーションやACPを実現する為には多職種で『情報と目的』をしっかりと共有する事が必要ではないでしょうか?
各々の職種が持っている情報をチームで共有し、同じ目的に向かってお互いの力を引き出し合う
当たり前の様に感じるかもしれませんが、実際に病院や施設、在宅医療の現場においてチームで『情報と目的』が共有出来ているかと言われると胸を張って『出来ています』と言えない自分がいます
各々の職種が単独(点)で頑張るのではなく、点を線(チーム医療)にする関わりが多職種連携には必要になって来るのではないでしょうか?
自らの無力さを知る
自分自身の無力さを知る事も多職種が連携する為には重要な事ではないかと考えています
例えばリハビリテーション専門職と呼ばれる理学療法士、作業療法士、言語聴覚士だけで患者さんのリハビリテーション(その人らしい生活(生き方)を支援する事)は実現出来るのか?
出来る可能性も0ではありませんが、個人的には難しい事が多いと感じています
リハビリテーションとは何かを理学療法士として考えてみたブログは↓
理学療法士が関わる時間だけ頑張って、後は臥床している生活
そんな毎日ではなかなか元気になりません
病棟の看護師や介護福祉士に協力を要請(連携)し、トイレまで一緒に歩行してもらったり、食事時は車椅子に移乗してもらう
そういった多職種での関わりがあってこそのリハビリテーションだという事に気付く事が出来れば、良い意味で自分自身の無力さを体感する事が出来るのではないでしょうか?
理学療法士と医師・看護師・介護福祉士との連携について考えてみたブログは↓
心理的安全性の確保
心理的安全性という言葉も近年よく耳にする言葉ではないでしょうか?
そもそも心理的安全性とはどういった状態の事を言うのでしょうか?
心理的安全性という概念を最初に提唱したハーバード大学のエイミー・エドモンソン教授は心理的安全性の定義について、1999年に発表した論文の中で
『チームにおいて、他のメンバーが自分が発言することを恥じたり、拒絶したり、罰をあたえるようなことをしないという確信をもっている状態であり、チームは対人リスクをとるのに安全な場所であるとの信念がメンバー間で共有された状態』
と述べています
簡単に言えば『チームのメンバーが自分の考えや感情を安心して気兼ねなく発言出来る雰囲気』といった感じでしょうか?
医療介護業界で自信を持って心理的安全性が『確保』出来ていると言える職場がどれくらいあるものでしょうか?
逆に心理的安全性が『低い』職場では『無知』『無能』『邪魔』『否定』と4つの不安を抱えている従業員が多いと言われています
『無知の不安』はわからない事を質問した時に理解していない事を責められるのではといった不安を指します
『無能の不安』はミスの報告をする事で無能な人間だとレッテルを貼られるのではという不安です
『邪魔の不安』は自分に自信がない等の理由からチーム内で邪魔をしているかもしれないと考える事です
『否定の不安』は他の人と異なる意見を発言すると、その人の意見を否定していると思われるかもしれないという不安がある状態を指します
医療介護業界に限った話ではないかもしれませんが、
- 先輩にわからない事を質問すると『そんな事も知らないのか』と言われた
- ミスを報告すると、ため息をつかれた
- 会議等の場で発言するも『発言の趣旨がよくわかりません』と言われた
- 同僚に言いたい事があるけれど、空気が悪くなる可能性を考えて指摘出来ない(ぬるま湯の完成)
正直、医療介護の現場でもよく見かける光景ですし、そこに拍車をかけるのが医師を頂点にした職種間の壁(格差)
残念ながら、まだまだ医師に対して他職種が気軽に意見出来る環境ではないと感じています
チーム全員が心理的安全性を意識し、職種の壁を取り除き、同じ目線で他職種の話に耳を傾ける事が出来る
決して簡単な事ではありませんが、多職種が連携する為には心理的安全性の確保は必須ではないでしょうか?
他職種の事を知る
他職種の事をしっかりと理解出来ている医療介護従事者って案外少ないのではないでしょうか?
他職種の事を知る事は『何が出来るのか』を知る事であり、他職種の『強み』を知る事でもあると考えています
チームの中で問題点に対して、どの職種が要となってアプローチする事が出来るのかを明確にする事が出来れば(連携)、効率的なリハビリテーション実現(目標達成)に近づくのではないでしょうか?
歯科衛生士と理学療法士の連携を考えてみたブログは↓
共通言語を理解する
他職種の事を知るに似た部分ではありますが、自分達がよく使う専門用語を他職種が理解しているとは限りません
『患者さんを少しでも良くしたい』
例え想いは同じであったとしても、各職種によって学んで来た背景(養成校で学んだ事)は当然ながら異なります
自分が使っている言葉が他職種にしっかり伝わっているだろうかという疑問は常に頭の片隅に入れておく必要があると思いますし、普段から他職種と積極的にコミュニケーションをとる事で他職種がどこまでは理解出来ているのかを何となくでも把握しておく事はスムーズな多職種連携の為にも大切ではないでしょうか?
他職種との関係性を構築していく上で意識してみて欲しい『単純接触効果+α』に関するブログは↓
まとめ
今回は多職種が連携する為の5つのポイントをまとめてみました
最終的には多職種連携も『人間関係』と『コミュニケーション』にいきつくのではないでしょうか?
多職種連携が少しでも上手くいけば患者さんやご家族にとってメリットは大きいと思います
正解は未だにわかりませんが、今後も各々の職種が多職種連携に向けて動き続ける事、考え続ける事が重要なのではないでしょうか?
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