『似た者同士は惹かれ合う』
『類は友を呼ぶ』
こういった言葉がありますが、皆さんも何となく『確かに』と感じる部分があるのではないでしょうか?
共通項が多く、類似性が高いとグループへの帰属意識が増し、一緒にいる人達への親密度も上昇すると言われています
ちなみに帰属意識とは1963年に東京大学の尾高邦雄教授が作り出した造語で、ある集団・組織に所属しているという意識や感覚の事をいうそうです
私は仕事においてもプライベートにおいても、初対面の人とのコミュニケーション、関係性構築で1番活用しているのが『共通項・類似性の原理』です
共通項・類似性の原理についてまとめたブログは↓
今回、新たに共通項・類似性の原理に関する興味深い2つの研究結果を見つけたので、深掘りしてみたいと思います
相手の距離を縮めるのに役立った話題
2013年、アメリカのイリノイ大学が100組のカップルを対象に『類似性と帰属意識』の関係を調査した研究があります
類似性を6つのパターンに分けて、どのパターンを使った会話が相手との距離を縮めるのに役立ったかを調べました
- 社会的地位や職業、人種、家族構成、出身地といった自分の生活背景に関する話
- 思想や信念、人生の捉え方、ボランティア精神に関する話
- 趣味や休日の過ごし方に関する話
- 倫理的に話すタイプか感情的に話すタイプか、自分の事を話す機会が多いか聞く側に立つ事が多いか等、コミュニケーションスタイルに関する話
- 内向的なのか外交的なのか、協調性があるのかないのかといった様な、性格についてのパーソナリティーに関する話
- 髪型や服装、身体的な特徴に関する話
この6つのパターンの内、イリノイ大学の研究で『相手との距離を縮めるのに最も効果的である』と認められたのは次の2つの話題でした
- 思想や信念、人生の捉え方、ボランテ ィア精神に関する話
- コミュニケーションスタイルに関する話
マニアックな類似性が関係性を深める
一般的に思想や信念、コミニケーションスタイルの話等、深い話は避けられる傾向があります
ところが、一般的には避けられがちな話題だからこそ、そこに類似性が見つかると2人の帰属意識は高まり、相手との距離感が縮まっていくのです
皆さんにも相手とのマニアックな共通項が見つかった時に一瞬で打ち解けた経験があるのではないでしょうか?
マニアックな共通項こそ、見逃さずに拾う意識を持ってみて下さいね
一方で、仕事や出身地、家族の話題等は類似点が多く見つかるものの、帰属意識は高まりにくいそうです
より深い話をする為の橋渡しとして持ち出すのは効果的ですが、それだけで深い信頼関係が結べる様にはならないとの事
以前に人たらしに関するブログを書きましたが、その中でも紹介した『秘密の共有』の様な類似性を発見する事が関係性を深めるポイントなのかもしれませんね
人たらしの人の特徴に関するブログは↓
私は仕事では仕事や出身地の話から会話を始める事が多いですね
そこである程度親近感を感じてもらえる様な関係性を作ってから、思想や信念、大切にしている価値観を、基本的に患者さんに話してもらうスタンスは崩さずに会話の中に入れ込んでいくイメージですかね
同じ初めましてでも、SNSを通じてある程度両者の価値観を共有出来ている場合は、最初から踏み込む事もありますが、一方的な思い込み(この人なら踏み込んでも大丈夫だろう)が働いている可能性もあるので、基本は同じで相手の反応を見ながら展開していく事が大切ではないでしょうか?
現実の類似と主観的な類似
類似性が2人の親密度を高めるのは間違いないですが、注意点が1つあります
類似には『現実の類似』と『主観的な類似』の2種類があるという事です
例えば、野球部出身で身長180cm以上、文武両道で今も営業職でバリバリ活躍しているという類似点を持つ2人の男性がいたとしましょう
野球部出身、身長180cm以上、文武両道、営業職、全て類似点ではありますが、これらは『現実の類似』です
簡単に言えば、表面的な浅い類似点といった感じでしょうか?
一方で1人の男性は『野球部出身だし、今もスポーツが好きでアウトドア派で外交的なんだろうな』と思っているとしましょう
ところがもう1人の男性は『自分は内向的で出来ればインドアに過ごしたい』と思っていたとすると、内面的な部分である『主観的な類似』は類似しない事になる訳です
要するに私達は目に見える現実の類似に引っ張られ、主観的な類似を勘違いしている可能性があるという事です
こうした心理について、アメリカのテキサス大学が出会い系サイトのユーザーを対象に、2つの類似の違いを検証した研究があります
その結果も、現実の類似(出身地、年齢、ファッションの好み、好きな映画など)が増えても男女の親密度はアップせず、あくまでも重要なのは『主観的な類似の増加』(ユーザー同士が『自分達はそっくりだ』と実感出来る事の増加)であることが確認されているそうです
既に紹介したイリノイ大学の研究もそうでしたが、テキサス大学の研究においても『思い込み』が2人の関係性構築を邪魔する可能性があるという事は頭の片隅に置いておく必要があるのではないでしょうか?
まとめ
今回は信頼関係構築に役立つ共通項・類似性の原理について、改めて深掘りしてみました
この記事を通じて、決して表面的な類似ではダメだと言いたいのではありません
表面的な類似(現実の類似)も活用しつつ、類似の質(主観的な類似)を高めていく必要があるという事ではないでしょうか?
効率的に相手との類似点を見つける為には情報収集能力を高める事と可能な範囲で色んな事に興味を持つ事が大切ではないかと私は考えています
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