私は初対面の人と話す時でもあまり緊張しないタイプなのですが、会話が苦手な人は緊張する事が多いのではないでしょうか?
そしてその緊張感がコミュニケーション能力に悪影響を及ぼし、余計に話せなくなったりすると考えたりするのではないでしょうか?
また『会話が苦手』という意識はコミュニケーション能力に影響するのでしょうか?
今回は2つの研究から緊張感や『会話が苦手』と感じる事がコミュニケーション能力にどう影響するのかを考えてみたいと思います
緊張感はパフォーマンスには影響しない
『緊張すると上手く喋れなくなりそう』
実はその考えは、グリニッジ大学の研究で錯覚だとわかっているそうです
平均年齢25歳の大学生93人を対象に行われた研究で、いわゆる社会不安尺度のレベルの高い人を集めています
人との会話やコミュニケーションに対する不安のレベルが平均よりも上の人達を対象にしていますが、社会不安障害のレベルではありません
つまり、治療が必要になるレベルの社会不安ではなく、人と話すのが苦手だとか会話をするのが苦手だと感じているレベルの人達です
実験では、全員に3分間のスピーチを3人の人達を前にして行うという事と、3分間で初対面の異性の事を出来るだけ知る為に会話をしてもらうという2つのタスクを行いました
人と話すのが苦手な人達にとっては、どちらも結構ハードルの高い事だと思います
その結果分かった事として、社会不安尺度のレベルが高く社会不安を感じやすい人ほど、そわそわしたり震えたり緊張を表す様な行動は増えていました
そこだけで評価すると、やはり社会不安を感じやすい人は緊張や不安によってコミュニケーション能力が下がるのではないかと考えそうになりますが、社会不安尺度のレベルが高くて緊張や不安を表す行動が増えていたとしても、言語表現や言葉の流暢さ等の社会的なパフォーマンス評価には影響がなかったという事も確認されたそうです
初対面の人との会話でも困らないコミュニケーションのコツに関するブログは↓
会話(社交)が苦手だと思うと感情を読み取る能力が下がる
一方で、社交スキルに関して、アメリカのフランクリン&マーシャル大学が行った実験があります
事前に、協力してくれる学生のコミュニケーションレベルを調査した上で『会話が苦手だ』と答えた86人を選択し、実験に参加してもらいました研究者達は86人に対して、24枚の顔写真を見せて『写真の人物の感情を当てて下さい』と指示を出しました
ただし、指示を出す前に『これは社交スキルを測るテストです』『これは一般常識のテストです』という2種類の説明を行いました
その結果、被験者が『これは社交スキルを測るテストだ』と思いながら実験に参加した場合、そのスコアは社交が得意な人達の平均的な成績よりも悪くなりました
被験者が『これは一般常識のテストだ』と思いながら実験に参加した場合、そのスコアは社交が得意な人達の平均的な成績よりも良くなりました
つまり社交スキルを測るテストだと認識した途端『会話が苦手』だという自意識のある学生達は力が発揮出来なくなったのです
ところが一般常識のテストだと思っていると、写真の人物の感情を当てる事ができました
この結果からわかるのは、会話が苦手だと思っている人の社交スキルが低いわけではなく、むしろ相手の感情を読み取る能力は高いという事ですね
当たり前ですが、人とコミュニケーションを図る時に『これは社交スキルを測るテストだ』なんて思わない訳ですよね
要するに『会話(社交)が苦手だ』と思わずに自然体でコミュニケーションがとれれば、むしろ社交が得意な人達よりも相手の感情を読み取る能力は高いという事になります
コミュニケーションに苦手意識がある人の頭の中に関してまとめたブログは↓
成功体験を積み重ねよう
『会話(社交)が苦手』という感覚の背景には『話すのが苦手』という部分もあるのではないでしょうか?
仮に話すのが苦手なのであれば『聴く』事から始めてみてはいかがでしょうか?
『話し上手は聞き上手』という言葉を1度は聞いた事があると思いますが、人は自分の話をする事が大好きな生き物です
だからこそ、人は自分の話を聴いてくれる人に好意を持ちやすいんですよね
『話していて楽しかった』
そういった成功体験(言葉)を積み重ねていく事で少しずつ『会話が苦手』という感覚を手放していけるのではないでしょうか?
話し上手より聞き上手に関してまとめたブログは↓
コミュニケーション能力を高める為には『ポイントを踏まえて場数を踏む事』だと考えています
相手に親近感を感じてもらう為の心理学的なポイントはブログ内でも色々と紹介していますので、参考にしてみて下さいね
意識してみて欲しいのは無理のない範囲で色んな世代、価値観の人と話をする事
同世代や価値観が近い人と話があうのはある意味当たり前なので、幅広い世代と意識的にコミュニケーションをとってみて欲しいですね
個人的な想いとしては、若手や学生さんには戦争を経験している高齢者の話に耳を傾けて欲しいと思っています
そんなに先ではない未来に日本に戦争をリアルに経験していた世代はいなくなるんですよね
本当の意味で戦争の怖さを知らない人ばかりの国になるという事です
戦争の恐ろしさを100%語り継ぐ事なんて不可能ですが、知らないよりは知っておいた方が良いのではないかと私は考えています
高齢者とのコミュニケーションを大切にして欲しい理由をまとめたブログは↓
まとめ
今回は会話が苦手という感覚や緊張感はコミュニケーション能力にどう影響するのかという事を2つの研究から考えてみました
緊張感があっても、言語表現や言葉の流暢さ等の社会的なパフォーマンス評価には影響がないという事
『会話(社交)が苦手だ』と思わずに自然体でコミュニケーションがとれれば、むしろ社交が得意な人達よりも相手の感情を読み取る能力は高いという事ですね
人として生きている以上、コミュニケーションから逃げ切る事は極めて難しいです
だからこそ、ブログを通じてコミュニケーションに関する発信を続けていく中で、少しでも苦手意識がある人の助けになれるのであれば、嬉しいですね
その為にも私も日々、勉強と実践あるのみですね
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