前回の記事で人間が生きていく上で必要な能力の1つがコミュニケーション能力と書きましたが、同じく人間が生きていく上で切っても切れないのが人間関係ではないでしょうか?
私は人間関係を少しでも円滑にする為にはコミュニケーションと心理学的な関わりを学ぶ事が大切ではないかと考えています
前回の記事で人と人とが親密になっていくステップとして『親密化過程』を紹介させて頂きました
第一印象がその後の印象を左右する『初頭効果』
接触機会を増やす事で相手に親近感を感じてもらいやすくなる『単純接触効果』
自分の情報を開示する事で相手の情報を引き出す『自己開示』
今回は前回の記事で紹介しきれなかった『共通項・類似性の原理』と『相補性の原理』を中心にまとめてみようと思います
共通項・類似性の原理とは?
簡単にいえば、自分と似た所(共通項)がある人に人は親近感を感じやすいという心理効果です
違う言い方をするならば『類は友を呼ぶ』という事にもなりますね
共通項に関しては好きな食べ物、好きな音楽、年齢、出身地、趣味、仕事、生年月日、血液型や干支等、何でもOKで、いかに早い段階で共通項を数多く探し出せるかが大切です
ちなみにミシガン大学の社会心理学者であるセオドア・ニューカム博士は1961年の研究で、人間関係が親密になっていく過程を追跡調査した結果、お互いの基本的なものの見方や考え方が類似している事(態度や価値観の類似性)が長期的な人間関係において特に重要な要因である事を発見しました
更にテキサス大学のドン・バーンとドン・ネルソン博士らが実施した1965年の研究では、2人の態度や価値観の類似性が高いと仲良くなりやすくなる心理的な理由として、次の3つを挙げています
- 自分の考えの正しさが確認出来る為、安心感が得られるから
- 相手の理解が容易である為、衝突する事が少ないから
- 相手と自分とを一体的に感じやすくなり、自己愛的な気持ちが生まれるから
要するに共通項がある事で、相手に心地よさや安心感を感じるという事ですね
共通項を効率的に見つけ出すポイントとしては、事前に情報収集出来るのであればしておく事が大切です
例えば、私が働いている医療介護業界であれば、事前に病棟カルテや情報提供書で相手の情報を何かしら知る事が出来ます
住所や生年月日は当然記載されているでしょうし、情報があれば趣味やどんな仕事をされていたのか等もチェックしてみましょう
その中で自分との共通項が見つかれば、その話題で会話を始めてみれば良いのではないでしょうか?
例えば、入院して来た患者さんが元看護師だったという情報を得た場合、皆さんであればどの様な切り口で会話を始めますか?
『〇〇さんは看護師として働かれていたのですね』といった感じでしょうか?
私であれば、次の様な切り口で会話を始めると思います
『〇〇さんはどんなお仕事をされていたのですか?』
【若い頃は看護師として働いていたんよ】
『え?そうなんですか!!同じ医療介護業界で働く者として色々と教えて下さい』
違いは何かと言うと、あえて知らなかったという空気を演出する事で偶然の一致を装っているんです
簡単に言えば『同志ですね』的な感じにしたいという事ですね
とはいえ、全ての人の情報が事前に手に入る訳ではありませんし、情報の中に共通項が見出せない場合もあるかと思います
そういった場合、どの様に共通項を探すのか?
私は全世代で使える質問を用いる様にしています
どういう事かといいますと、例えば30代に『好きな音楽は何ですか?』という質問をするとします
答えはAKB48であったり、40代に近い世代だとモーニング娘。といった答えが出てくる可能性があります
例え異なる回答であっても、世代が近いので共通項は見つけやすいでしょう
では90代に同じ質問をぶつけるとどうなるでしょうか?
村田英雄さんや藤山一郎さんという答えが出て来る訳です
正直そこで共通項を見つけ出すのは難しいのではないでしょうか?
では30代にも90代にも使える質問とはどんな内容でしょうか?
個人的には『出身地(田舎)』の質問を重宝しています
具体的には『〇〇さんはずっと神戸市にお住まいなんですか?』であったり『〇〇さんはどちらご出身なんですか?』といった感じでしょうか?
出身地の質問を選んだ理由は2つあります
1つはどの世代の人であっても出身地があり、担当する大半の人が日本国内で生まれているという事
もう1つは私自身が共通項を見つけやすいからです
共通項を見つけやすい理由は親が旅行が好きで色々と連れて行ってくれた事、私自身も青春18切符や夜行バスを利用して色んな所を訪れたり、食べ歩きが好きな為に県内を車で動き回っていたから
そして何よりも桃太郎電鉄というゲームをやり込んでいたからです笑
桃太郎電鉄というゲームはサイコロをふって、目的地を目指し、お金を増やして駅に売っている物件を買って資産を増やすといった内容なのですが、やり込んでいたせいで日本の各地域にどんな都市があり、そこに売っている物件(ほとんどが名産品)が何かが頭に入っているのです
なので、大体どんな出身地が出て来ても『(石川であれば)近江町市場に行った事あるんですよ』とか『なぎさドライブウェイには2回行って、2回とも悪天候で振られてるんですよ』といった感じで共通項を作り出す事が出来るんです
私の場合は出身地に関する話題が得意な訳ですが、皆さんにとっては何が得意分野なのか?
その得意分野は全世代に共通な話題なのかを考えてみて下さいね
相補性の原理とは?
お互いを補い合う事で関係性が強固になるという心理効果ですね
ある程度の時間をかけて、お互いの強みや弱みを理解しない事には補い合える関係にはなれないので、親密化過程の中では最も活用しにくい心理効果であり、その分強力な心理効果とも言えます
例えば、理学療法士の私と担当している女性の患者さんがいたとします
理学療法士としての私の強みは患者さんの困っている症状を軽減出来る技術や知識がある事、患者さんの弱みは身体機能が低下して思う様に動けない事
女性患者さんの強みは3人の子供を社会人まで育て上げた事、理学療法士としての私の弱みは子育てに関して悩んでいる事
こういった場合、お互いの強みと弱みがかみ合っていますよね
こういった関係性が成立した時に『相補性の原理』は働きます
この機会に美女と野獣のカップルが何故成立するのかも心理学的に解説しておきましょう
例えば、南海キャンディーズの山ちゃんと蒼井優さんの様な展開ですね
理由は1つではないと思いますが、美女と野獣にも相補性の原理は関与している事が考えられます
野獣は自分の外見が良くないのが弱み、美女は逆に容姿端麗なのが強み
美女は経済的に余裕がないのが弱み、野獣は経済的に余裕があるのが強み
こういった関係性の結果、相補性の原理が働き、美女と野獣のカップルが成立する可能性は大いにあるのではないでしょうか?
親密化過程を含め、初めて心理学を学ぶ人は↓の文庫本がオススメです
様々な心理効果が簡潔に紹介されています
同じ様に様々なデータを紹介してあるだけでなく、わかりやすく心理学を学べる書籍は↓
いきなり『嫌われる勇気』的な本を読むよりもこういったお手軽かつ読みやすい文庫本から心理学を学び始める事を個人的にはオススメします
まとめ
今回は人間関係を円滑にする為の2つのポイントとして、親密化過程における『共通項・類似性の原理』と『相補性の原理』について紹介させて頂きました
個人的には『共通項・類似性の原理』が初期から使える上に、早期に相手との関係性を構築出来る方法だと感じています
前回の記事にも書きましたが、こういった心理学的な関り方は、実践でトライ&エラーを繰り返しながら上手くなっていくものだと思います
少しでも参考になった部分があれば、1つでも良いので、まずは実践してみて下さいね
コメント