入院患者さんの『孫の結婚式に参加したい』
お孫さんの『結婚式に参加して欲しい』
という両想い(リハビリテーション)を叶えたいと動き続けた1ヶ月
無事に大きな問題なく叶える事ができ、患者さん、お孫さん、ご家族の笑顔と涙を見て、理学療法士としてホッとしている自分がいます
結婚式当日を迎えるまでの過程は↓
結婚式当日については↓
最後に結婚式後の事と今回の経験を通じて理学療法士としてどう感じたのかをまとめておきたいと思います
リハビリテーション実現には多職種連携が大切
結婚式参加を終えた後、私はすぐに今回の経験を報告書にまとめ、多職種と成功体験を共有しました
報告書を作成した理由は2つ
- 患者さんの当日の様子や表情を見て欲しかった
- 今回のリハビリテーション実現は他職種の協力なしでは実現出来なかった
という事を伝えたかったからです
当日の写真については、結婚式前にお孫さんに写真を撮らせて頂く目的を説明し、了承を得ていました
言葉よりも写真で見て頂いた方が説得力があると感じたからです
病棟では見せない表情を見て、病棟スタッフも『いい顔してる』『参加出来て良かったね』と盛り上がっていました
報告書では患者さんの写真と簡単な解説だけでなく、最後に文章として感謝を伝えさせて頂きました
今回のリハビリテーションは私1人が理学療法士として頑張ったから実現出来たのでは決してありません
当日までの体調管理だけでなく、当日の飲食も含め、提案をしてくれた看護師
当日のドレス着脱を含め、日々の生活全般を支えてくれた介護職
今以上に痩せて弱らない様にと食事内容を考え、栄養補助食品含め、調整してくれた管理栄養士と調理スタッフ
車椅子の手配、選定に協力して下さったケアマネージャーと福祉用具事業所
前例のない挑戦を『頑張れ』と見守ってくれたリハビリテーション科スタッフ
そして何よりもこのコロナ渦の中、最終的に参加しても良いと決断をして下さった主治医
こういった多職種の協力、連携があったからこそ実現出来たのだという事を感謝の気持ちと一緒に伝えたかったのです
もちろん患者さん自身の努力、お孫さん含む、ご家族やウエディングプランナーの協力、そして介護タクシー事業者、知人の看護師の協力にも心から感謝しています
次のリハビリテーション、ACPの支援に繋げたい
大切な事は今回の経験を今後にどう活かすかではないでしょうか?
個人的には今回の経験を通じて『入院していてもこういった関わりも出来るんだ』という成功体験が病棟スタッフの頭の片隅にでも残ればいいなと考えています
今後仕事をしていく中で、結婚式だけでなく、お墓参りに行きたい、人生の最後にどうしても会いたい人がいるという展開もあるかもしれません
もちろん全てが実現出来る訳ではないですが『そういえば以前、結婚式に参加した患者さんがいたな』という記憶が少しでも残っていれば『どうにか出来ないかな』『理学療法士にでも相談してみるか』という展開になる可能性もあるのではないでしょうか?
今回の成功体験が1人でも多くのリハビリテーション、違った視点で考えるのであればACP(アドバンスケアプランニング:人生会議)を支援する事に繋がれば、これ程嬉しい事はないですね
ACPとリハビリテーションについては↓
実習生にリハビリテーションとは何かを伝えたい
これは完全に想定外だったのですが、勉強に来ていた理学療法士を目指す実習生が私の作成した報告書を読んで、涙を流したとの事
1つのリハビリテーションの形が同じく理学療法士を目指す後輩に伝わり、多少なりとも心が動いた結果、自然と涙が溢れた
色んな指導方法はあるかと思いますが、こういった形も私なりの後輩指導の形だと考えています
例え、今はこういった関わりがリハビリテーションだという事がハッキリとは理解出来なくても、将来理学療法士として働き始めた時に
『そういえば患者さんと一緒に結婚式に参加していた人がいたな』
とリハビリテーションとは何かを改めて考えるキッカケになれればそれで良しです
理学療法士としてリハビリテーションとは何かを考えてみた記事は↓
やる前から諦めるのではなく、やるだけやってから諦めよう
今回の経験は私にとっても初めての挑戦であり、勇気のいる挑戦でした
結婚式当日に理学療法士として同行する事
介護タクシーや同行してもらう看護師の手配
ご家族に金銭的な負担がかかり過ぎない配慮
コロナ渦にあえて人が集まる場所に行く事
服薬の調整依頼や飲食の提案
急変する可能性
不安がなかったかといえば嘘になりますし『この提案は流石に厳しいかな』と思った事も一度や二度ではありません
ですが、患者ファースト、ご家族ファーストの視点を第一に自分自身の考えを思い切って伝えた結果、想像以上に患者さん、ご家族のご希望に沿った形になりました
最初から無理だと諦めるのではなく、出来るだけの事をしてから諦める事が大切だと思いますし、少々難しそうな提案もどの様にすれば通りやすくなるのかを考えるのもリハビリテーション実現には大切な事ではないでしょうか?
今となってはそういった過程すら今後の自分の糧になったと思えますし、少しずつでも結婚式に向けて話が前進していく事にワクワクしている自分がいました
今後も理学療法士として学び続ける事、考え続ける事、諦めない事を大切にしていきたいですね
まとめ
今回はお孫さんの結婚式に参加するというリハビリテーションを実現した後の事と、今回の経験を通じて理学療法士として感じた事をまとめてみました
療法士は高齢者と関わる事が多いからこそ、結婚式に出たい、お墓参りに行きたい、最後にあの人に会いに行きたい、外食したい、旅行に行きたいといった希望を聞く事も多いのではないでしょうか?
少なくとも私の様な平凡な理学療法士でも1人の患者さんのリハビリテーションを実現する事が出来ました
目の前の患者さんの担当療法士はあなたです
うちでは無理だ、自分には無理だと諦めるのではなく、何か実現出来る方法はないか考え続けてみませんか?
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