ディスカッションの目的~正解のないディスカッションは本当に時間の無駄なのか?~

コミュニケーション
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リハビリテーションはチームアプローチであり、効率的に支援していく為には多職種との連携が大切だと考えています。

そして『多』職種が連携する為には『他』職種の事をもっと知る必要があるとも考えています。

以前に多職種が連携する為の5つのポイントについてブログを書かせて頂きましたが、ディスカッション等を通じて、お互いの職種の事や価値観、視点を共有する事はとても大切です↓

個人的には隙間時間を有効活用する為にも他職種や学生達とディスカッションする機会を作っているのですが、医療介護業界の問題提起は正解がない事も多い様に感じています。

個人的には例え正解がなくても、ディスカッションする意味は大いにあると考えているのですが、今回は改めてディスカッションを実施する目的と正解のないディスカッションは本当に時間の無駄なのかについて考えてみたいと思います。

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ディスカッションとは

ディスカッションとは、討論や議論といった意味を表す言葉です。

あるテーマについて複数の参加者が自身の意見を出し合いながら、最適解を探す機会だと捉えています。

ディスカッションと混同されがちな言葉にディベートがあります。

ディベートはディスカッションと同様に討論するという意味ですが『相手を論破する』意味合いが強くあるのが特徴です。

一般的にディベートでは特定のテーマについて肯定派と否定派に分かれ、それぞれ与えられた役割で一定の時間内に議論します。

最終的に審判や観客が、どちらの主張が優れていたかをジャッジする。

つまり、明確な勝ち負けがあるのがディベートであり、ディスカッションに勝敗はありません。

ディスカッションでも特定のテーマについて意見を交わしますが、どの意見が正しい、間違っていると対立する訳ではなく、意見を出し合う事で納得出来る結論を見出す事が目的になります。

個人的には白黒をハッキリさせる為のディベートではなく、お互いの意見や価値観を知る為のディスカッションを大切にしています。

ディスカッションの目的

ディスカッションを行う目的としては以下の4つがあると考えています。

  1. 多種多様な視点に気付く事が出来る
  2. お互いの職種の事を知る事が出来る
  3. 自身の考えをアウトプットする機会になるだけでなく、思考を整理出来る
  4. 意見が受け入れられる事で自己肯定感が高まる

それでは1つずつ掘り下げてみましょう。

多種多様な視点に気付く事が出来る

私にとって、ディスカッションをする1つの大きな目的はこれだと考えています。

色んな人の意見に耳を傾ける事で自分とは異なる視点や捉え方を知る事が出来ます。

自分とは異なる視点に気付く事で、新たな価値観が生まれる事もあります。

例えば、実習生の昼休みのスマホ利用について。

5年程前の私は臨床実習中くらいはスマホ利用を控える。

もしくは利用するにしても堂々とスタッフの前では使用しない方が良いのではと考えていました。

スマホを利用する事でスタッフの実習生に対する評価が下がる可能性もあるのではないかと思っていたからです。

実習生の昼休みのスマホ利用に関するブログは↓

でも臨床実習に関する研修会に参加し

『休み時間まで評価の対象にしてしまうと実習生にかかるストレスが大きい』

『スタッフはスマホを利用しているのに実習生だけスマホNGはおかしい』

といった声(視点)を聴き、納得した事がありました。

その経験を経て、今は昼休みに関しては実習生の好きな様に使えば良いと思う様になりました。

スマホを利用OK、昼寝もOK。

ただし、あくまでも私個人の視点であり、全ての実習先で受け入れてもらえるという事ではないという事は伝える様にしています。

色んな人とディスカッションをする中でより良い思考を自分の中に取り入れていけたらいいなと思っています。

お互いの職種の事を知る事が出来る

これも私にとってディスカッションをする大きな目的の1つである事は間違いありません。

最初にも書かせて頂きましたが『多』職種連携が連携する為には『他』職種の事を知る事が大切であり、その事が効率的なリハビリテーション支援にも繋がると考えているからです。

ディスカッションをする事で他職種がどんな事が出来るのか、職種だけでなく、目の前の『人』の強みや得意な事は何なのかを理解する事で困った時に話を振ったり、相談する事も出来ますよね。

一方で自分達には何が出来るのかを伝える機会にもなると思います。

少し前に医師が主体のオンラインサロンに参加し、ディスカッションさせて頂いたのですが、医師にとって理学療法士の視点は斬新な事もある様です。

理学療法士ってこんな事も出来るんだ、こういった視点も持っているんだという事が医師を含む他職種に伝われば、多職種連携がわずかでも前に進むのかもしれませんね。

自身の考えをアウトプットする機会になるだけでなく、思考を整理出来る

ディスカッションをする中で意見を述べるという事はアウトプットに繋がります。

私は基本的にインプットとアウトプットはセットで実施すべきだと考えているのですが、アウトプットをオススメする理由は3つあります。

  1. 記憶の定着率が向上する
  2. 誤っている部分があれば、修正してもらえる可能性がある
  3. 思考が整理される

1つずつ簡単に掘り下げてみましょう。

①記憶の定着率が向上する。

下に図で示しますが、ラーニングピラミッドという研究結果があり、7つの学習方法の中で『講義を受ける』が1番記憶に残りにくく、逆に1番効率的に記憶に残るのが『他の人に教える』だそうです。

つまり、ディスカッションをする中で自分の意見を参加者にわかりやすく伝えようとする事は記憶の定着率向上にも一役買っていると考えています。

②誤っている部分があれば、修正してもらえる可能性がある。

自分の意見を言語化する事で、間違いに気付けたり、指摘してもらえる事にも繋がります。

より良い知識を新たにインプットする機会になると思えば、大きな意味がありますよね。

③思考が整理される。

頭の中では何となく理解出来ていると感じる事も言語化しようとすると、上手くまとまらない事もあります。

自分の意見を伝えるだけでなく、他の参加者の意見にも耳を傾け、間違いに気付いた事に関しては修正していく。

そういった時間を積み重ねていく事で少しずつ思考が整理されていくのかもしれませんね。

意見が受け入れられる事で自己肯定感が高まる

ディスカッションする中で自分の意見が参加者に受け入れられたり、学びに繋がったりする経験は自己肯定感に繋がっていくと考えています。

自己肯定感とは、自分の存在そのものを認める感覚の事です。

ありのままの自分をかけがえのない存在として肯定する、好意的に受け止められる事で生まれる感覚の事であり『私は私でいいんだ』と思える様な状態の事を言います。

ちなみに自己肯定感に似た言葉として『自己効力感』があります。

自己肯定感は『ありのままの自分を認め受け入れる感覚』の事で、自分の存在そのものに対する評価の事をいいます。

自己効力感は、課題に直面した時に『自分なら出来る』と信じられる力に対する自己評価の事をいいます。

似た様な言葉ではありますが、正確には全く異なる意味を持つ言葉になります。

逆に考えるならば、ディスカッションに参加してみたものの、安易に否定される様な場面が続くと、自己肯定感が下がってしまう可能性もある為に注意が必要です。

意見を伝える事に慣れていない、自信がない人がディスカッションに参加する場合には、予め心理的安全性が保たれている様な環境を主催者が作る、もしくは選ぶ必要があるのかもしれ ませんね。

まとめ

今回はディスカッションの目的と正解のないディスカッションは本当に時間の無駄なのかについて自分の考えをまとめてみました。

正直、ディスカッションをして最適解を導き出せれば良いですが、難しい事の方が多いでしょう。

ですが、最適解を探す為に参加者各々が知識や経験、視点を共有する事で学びが生まれ、新たな視点に気付ける事だってあります。

大切にしておきたい事は医療介護従事者だけでディスカッションし続けない事。

当事者やご家族の視点はもちろん大切ですし、時には一般の方や学生達の素朴な意見が盲点だったりする事もあります。

そういう意味では多種多様な方々が気軽に参加出来るだけでなく、忌憚なく意見出来る環境作りもディスカッションを有意義にする為の重要なポイントなのかもしれませんね。

最後になりましたが、参加者が目的意識を持ってディスカッションに参加するという事さえ忘れなければ、無駄なディスカッションなんてなく、どう意味付けするのかに集約されるのかもしれませんね

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