リハビリテーション専門職という言葉が生み出す先入観

理学療法士
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理学療法士(physicalTherapist:PT)・作業療法士(occupational therapist:OT)・言語聴覚士(speech therapist:ST)(以下頭文字を取ってPOS)の3職種は『リハビリテーション専門職』として括られる事が多い

昨今は各地に『リハビリテーション専門職大学』も出来て来ています。

私自身も理学療法士であり、世間一般的にはリハビリテーション専門職なのかもしれませんが、個人的にはこの表現に少なからず違和感を感じている部分があります。

リハビリテーション専門職という言葉に対する違和感を深掘りする事、理学療法士としてどう捉えているのかをまとめる事がPOSだけでなく、他職種に対するメッセージになるのかもしれませんね。

私なりに『リハビリテーション』という言葉を考えてみた記事は↓

1人の理学療法士として『リハビリテーション専門職』という言葉のどこに違和感を感じるのか?

答えは単純明快!!

『リハビリテーションはPOSの3職種だけが頑張れば実現出来るものではない』と考えているからです。

一般の方だけならともかく、医療介護従事者の中にも『POSが関わっている時間だけがリハビリの時間』と思い込んでいる人が多くいます。

リハビリテーションを『その人らしい生活を支援する事』とするならば、それを実現する為の全ての活動はリハビリテーションなんです。

例えば、肺炎で入院し、数日間ベッドで寝ている(安静)間に下肢筋力が低下し、今まで出来ていた動作が出来なくなってしまったとします。

『1日も早く元気になって自分の家で孫達と一緒に楽しく過ごしたい』というリハビリテーションのゴールを設定をした場合、1日20分の理学療法だけ精一杯頑張って、残りの23時間40分はベッドでの臥床生活。

そんな生活をして元気になるのは不可能です。

1日も早いリハビリテーション実現には、多職種協同が必須であり『先生のおかげで元気になった』という患者さんの言葉は療法士だけの成果ではないという事は胸に刻んでおかねばなりません。

医師と看護師を中心に患者さんの体調管理をしてくれているからこそ、POSは仕事に集中出来ます。

薬剤師が医師と連携し、ポリファーマシー(必要以上の薬が処方されている状態)等の調整をしてくれているからこそ、POSは仕事に集中出来ます。

介護福祉士が食事介助や排泄介助、体位変換等を実践してくれているからこそ、POSは仕事に集中出来ます。

管理栄養士が栄養面をフォローしてくれているからこそPOSは仕事に集中出来ます。

歯科医師や歯科衛生士が口腔ケアや入れ歯の調整をしてくれるからこそ、POSは仕事に集中出来ます。

医療相談員(Medical Social Worker:MSW)が必要に応じて患者さんご自身やご家族の相談に乗ってくれているからこそ、POSは仕事に集中出来ます。

他職種だけでなく、ご家族が患者さんの精神面のフォローをしてくれているからこそPOSは仕事に集中出来るんですよね。

いかにリハビリテーション実現に他職種とご家族の力が必要か理解出来ましたでしょうか?

逆の視点で捉えるならば、他職種はそれだけ自分達の仕事がリハビリテーションに繋がっているんだという事を認識して頂けると嬉しいですね。

他にも放射線技師、義肢装具士、福祉用具専門相談員、リハ助手といった本当に多くの職種と立場の人がリハビリテーションに従事しているにも関わらず、主にPOSの3職種を『リハビリテーション専門職』という名で括るからこそ『リハビリテーションはPOSの仕事』という先入観が生まれてしまうのではないでしょうか?

一方で、リハビリテーション実現の為の先導役はPOSの仕事であって欲しいとも思っています。

病棟において、POSほど密に長い間、1人の患者さんと関われる仕事は他にないと思います。

その時間を使って、信頼関係を構築し、情報を引き出し、身体機能を評価して、他職種が出来る事を伝え、協力を要請する。

リハビリテーション専門職と括られているPOSには技術だけでなく、コミュニケーション能力や巻き込み力も必要なのかもしれませんね。

今回は『リハビリテーション専門職』という言葉に感じる違和感について掘り下げてみました。

この記事を通じて、改めて『リハビリテーションはチーム医療なんだ』という事と『POS以外の職種の関わりも立派なリハビリテーションなんだ』という事に気付いてもらえると嬉しいです。

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