鬼滅の刃の鬼舞辻無惨が指導者に向いていない理由5つを解説してみた

コミュニケーション
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鬼滅の刃(アニメ版)の中で話題になった事の1つが鬼舞辻無惨(以後無惨)のパワハラ会議

前回の記事では下限の鬼達に対して行ったパワハラ会議の中で『ダブルバインド』が使われており、ダブルバインドを受けた人は精神的ストレスが爆上がりしてしまう可能性があるという事を紹介しました

今回はパワハラ会議を含め、無惨がいかに指導者に向いていないのかという事を臨床実習の観点も含めながら考えてみたいと思います

個人的に無惨が指導者に向いていないと感じる理由は5つ

  1. 適材適所の人材活用をしていない
  2. 褒めずにけなす
  3. 否定も肯定もダメ
  4. 部下の意見を聞かない、圧力をかけて部下の意見を引き出す事をしない
  5. 滅多に会議を開かない(コミュニケーション不足)

では1つずつ掘り下げてみましょう(少しネタバレを含みます)

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適材適所の人材活用をしていない

実は鬼滅の刃の中でパワハラ会議は2度行われています(猗窩座との個人面談は除く)

ネット上で話題になった下限の鬼に対する会議とは別に、上弦に対するパワハラ会議の中で無惨は産屋敷一族を見つけ出し葬っていない事を責めます

鬼としての実力は国死牟と童磨、猗窩座がトップ3ですが、どちらかと言えば戦いが得意な鬼である3人は探索には不向きな訳ですね

同じ様に療法士としての能力(技術)があれば、臨床教育者に向いているかといえば必ずしもそうではありません

養成校時代の授業を思い出してみて下さい

大学教授や大きな病院のリハ科長クラスが講師として来て下さっていたかと思いますが、肩書きと授業のわかりやすさ、面白さは一致していましたでしょうか?

肩書きや役職、療法士としての技術と教える、伝える能力は必ずしも比例しません

無惨は能力が高い事と万能である事を勘違いしていたのかもしれませんね

褒めずにけなす

実習生に限らず、多くの人はけなされるよりは褒められた方が嬉しいのではないでしょうか?

心理学には『ゴーレム効果』と呼ばれる心理効果があります

簡単に言うと、人は期待されてないと知るとダメになっていく心理です(期待されると応えようとする心理は『ピグマリオン効果』と言います)

無惨は有力な情報を掴んで来た上弦の鬼を褒める事もせず、非難し続けていました

上弦の鬼達はこの程度ではへこたれませんが、人生経験の浅い実習生達にはこたえます

実習生の出来ている部分を認めず(褒めず)、出来ていない部分ばかりを指摘し続ける事で実習生のモチベーションは下がり、ダメになっていく可能性があります

とはいえ臨床教育者として、実習生の出来ていない部分を指摘(けなしてはダメ)しない訳にもいきません

その際は『親近化効果』を活用してみてはいかがでしょうか?

親近化効果はいわゆる『終わり良ければすべてよし』という事

最後に受けた印象が残りやすいという心理効果です

単純に『いい奴だけど、ケチ』と『ケチやけど、いい奴』の違いですね笑

要するに先に指摘すべき事を伝えた上で、最後に出来ている部分を認めれば良いのではないでしょうか?

臨床教育者は無惨と同じ様に最初から最後まで否定で終わらない様に意識すべきでしょう

否定も肯定もダメ

最初にも紹介しましたが、下弦の鬼に対する会議で使われていた『ダブルバインド』ですね

ここに関しては最初に紹介した前回の記事を参照になさって下さい

部下の意見を聞かない、圧力をかけて部下の意見を引き出す事をしない

この2つは似ている部分があるのかもしれません

パワハラ会議では惨殺される同じ下弦の鬼達を見て、下弦の参が『思考は読まれ、肯定しても否定しても殺される。戦って勝てるはずもない。なら、逃げるしか』と脱出を試みますが、あっけなく無惨に惨殺されます

肯定してもダメ、否定してもダメ、戦ってもダメと何をしてもダメな状況が持続すると『学習性無力感』に陥ってしまう可能性が出て来ます

学習性無力感とは、米国の心理学者マーティン・セリグマンが1967年に発表した概念で、抵抗する事も回避する事も困難なストレスに長期間さらされ続けると、そうした不快な状況下から逃れようとする自発的な行動すら起こらなくなる現象を言います

『学習性絶望感』や『学習性無気力』とも呼ばれ、一種の抑うつ状態や学業不振にいたるメカニズムの1つとしても注目されているそうです

勘のいい療法士ならピンと来た人もいるのではないでしょうか?

従来型臨床実習におけるレポート(特に統合と解釈)指導においても『学習性無力感』は引き起こされていたのかもしれません

実習生なりのレポートを提出したとしましょう

よく耳にしたのが一刀両断するパターン

『はい、全部書き直し(考え直し)』の一言と×印で終了

絶望感を感じながら再度レポートに向き合い、翌日再提出

出来てない部分を徹底的に指摘され、またまた絶望感・・・

何度修正し提出しても承認されず繰り返される指摘・・・

徐々に『いつになったら完成するのかな・・・』という気持ちになり、そういった状態が続くと『もうどうでもいいや・・・』という学習性無力感が完成してしまう

CCS(診療参加型臨床実習)に移行した事で臨床教育者と実習生という関係の中ではこういった展開は少なくなったかと思いますが、部下と上司という関係の中では今でも十分に起こり得る事ではないでしょうか?

まさしく無惨はそういった上司にあたるのでしょうね

滅多に会議を開かない(コミュニケーション不足)

無惨が上弦の鬼達に対して開催したパワハラ会議は何と113年ぶり!!

いかに強力かつ従順な鬼とはいえ、あまりにも指導者としてコミュニケーションが不足しています

実習生にとっても臨床教育者との人間関係が大きな悩みのタネである事は間違いありません

人は接触する回数が増えれば増える程、相手に親近感を感じる事がわかっており、この事を心理学では『単純接触効果』と言います(ただし第一印象が悪くない場合に限る)

単純接触効果に関しては↓の記事も参考にしてみて下さい

つまり、コミュニケーション不足な状態で相手と良好な人間関係を構築するのは非常に難しいという事になります

とはいえ、経験者なら理解出来ると思いますが、実習生から臨床教育者に積極的に声を掛けたり、接触する事は非常に勇気がいります

良好な人間関係構築の為のキーは臨床教育者が握っていると私は考えています

臨床教育者として、療法士の先輩として、率先して声掛けしていく事も必要なのではないでしょうか?

まとめ

今回はパワハラ会議を含め、無惨がいかに指導者に向いていないかを5つの視点から解説してみました

今時そんな上司や臨床教育者は希少生物だと思いますが、部下や実習生に対して

『全ての決定権は私にあり、私の言う事は絶対である。私が正しいと言った事が正しいのだ』

といった無惨の様な関わり方をしていませんか?

少しでも思い当たる事がある人は『そんなんだからみんなに嫌われるんですよ』と胡蝶しのぶに言ってもらって下さい

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