今回は不死川兄弟の弟である不死川玄弥と鬼殺隊の頂点に立ち、柱達からの全幅の信頼を集めるお館様こと産屋敷耀哉の魅力について心理学的に考えてみたいと思います。
玄弥の兄で柱の1人である不死川実弥も非常に強く、魅力的なキャラクターなのですが、個人的には弟である玄弥の方に魅力を感じていました。
何故、実弥ではなく玄弥に魅力を感じたのかを心理学的な側面から考えてみました。
不死川玄弥に魅力を感じる理由①~ゲインロス効果~
不死川玄弥に魅力を感じる理由の1つはゲインロス効果、いわゆる『ギャップ萌え』ではないかと考えています。
ゲインロス効果とは最初にマイナスの印象からスタートすると、後にプラスの印象を覚えた時にプラスの印象をより大きく感じるという心理効果(正確にはゲイン効果)であり、プラスの印象から後にマイナスの印象を覚えると、マイナスの印象がより強くなります(ロス効果)。
前回の記事で鬼滅の刃の我妻善逸が人気がある理由を心理学的な側面から考えてみたのですが、善逸だけでなく、強いて言うならば伊之助にもゲインロス効果が働いているのではないでしょうか?
前回のブログは↓
鬼滅の刃の序盤で描かれている不死川玄弥は正直イメージは良くありません。
鬼殺隊の一員になる為の最終試験である最終選別に残った時はお館様の娘である産屋敷かなたを殴っていますし、下弦の伍である累と炭治郎が戦った那田蜘蛛山(なたぐもやま)編後の機能回復訓練編でもすれ違った時に炭治郎の挨拶を無視する等、クセが強い(マイナスの印象が強い)キャラクターとして描かれています。
序盤は常に表情が険しい玄弥ですが、刀鍛冶の里編で上弦の肆である半天狗を炭治郎と共闘して倒し、禰豆子の無事を確認した玄弥はとても優しい表情を見せます。
他にも実は兄である不死川実弥の事が大好きな玄弥が兄をバカにした善逸に怒り散らしたり、半天狗と上弦の伍である玉壺(ぎょっこ)に勝利して喜びを分かち合う輪の中、甘露寺蜜璃に抱き着かれて顔が真っ赤になる等、可愛らしい一面が描かれています。
こういった前半と後半のギャップが玄弥の魅力をより一層高めていると考えています。
もう1つ付け加えるとすれば、ザイアンスの法則(単純接触効果ともいう)の中に『人間は相手の人間的な側面を知った時により強く好意を持つようになる』という項目があります。
強面に見えるけれど、実は兄貴が大好きだったり、女の子にめっちゃ弱いといった意外な一面も玄弥の魅力を高めているのかもしれませんね。
単純接触効果について紹介しているブログは↓
不死川玄弥に魅力を感じる理由②~アンダードッグ効果~
不死川玄弥に魅力を感じるもう1つの理由は心理学でいうアンダードッグ効果ではないでしょうか?
人は玄弥の様に辛い立場にある人や困っている人を見ると、手を差し伸べて応援したくなる心理が働く事があります。
例えば、スポーツで劣勢や不利な状況にある方を応援したくなる事ってありませんか?
相撲で例えるならば、身体が大きく強い小錦と小兵の舞の海が戦う時に『舞の海頑張れ』となる心理ですね。
高校野球で例えるならば、誰もが聞いた事がある甲子園常連の私立高校とあまり知られてない公立高校が激突した時に公立高校を応援したくなる心理ですね。
2007年夏の甲子園に出場し『がばい旋風』を巻き起こし、逆転優勝した佐賀北高校が良い例ではないでしょうか?
話を鬼滅の刃に戻しますが、玄弥は炭治郎や善逸、伊之助といった他の鬼殺隊の仲間と違って、強烈な剣技を繰り出す為に必要な全集中の呼吸をマスターしていません。
その代わりに鬼を喰う事で一時的に鬼の戦闘力を見につける事が出来るという特異体質を持っています。
そこまでして戦う理由は兄であり、柱でもある不死川実弥に認めてもらいたいから。
玄弥は実弥に認めてもらいたい、過去に兄に吐いた暴言を心から謝りたいと思っているのですが、実弥は冷たくあしらいます(母親に引き続き弟を失いたくないから)。
そんな『ひたむきに頑張っているのになかなか報われない』玄弥をつい応援したくなるのかもしれませんね。
お館様の魅力~何故柱に尊敬されるのか?~
生まれつき重篤な病に侵されていて、刀を振るう事すら出来ないお館様こと産屋敷耀哉が技を極めた柱達から尊敬されるのは何故でしょうか?
実はお館様は上司のお手本の様な存在なのです。
アメリカの心理学者であるジョン・K・バトラーは、部下から信頼される上司の条件を以下の10個にまとめています。
- 必要な時にはいつでも会える
- 仕事上の判断が的確である
- 発言と行動が一致している
- 口が堅く、安心して相談できる
- 誰にでも分け隔てのない対応をする
- 何事にも誠実に対処する
- 自分が不利になっても部下をかばってくれる
- 自分の考えを隠さず言ってくれる
- 約束を守ってくれる
- 部下の発言を真剣に聞いてくれる
この10個の条件全てにお館様は当てはまっているからです。
柱合会議は一応、年に2回と決められていますが、身体の具合さえ良ければお館様はいつでも柱達と会う用意がありますし(①)、その判断に間違いはありません(②)。
言行一致ですし(③)、安心して相談も出来ますし(④)、柱にも、炭治郎の様な最下級の剣士にも分け隔てなく対応してくれます(⑤)。
権威を振りかざす事なく誠実ですし(⑥)、鬼を倒す為には自分を犠牲にする事も厭いません(⑦)。
オープンマインドである事は会話からも明らかで(⑧)、禰豆子に関する冨岡義勇達とした約束も守ってくれましたし(➈)、自分の決定に反対する不死川実弥の意見にも真剣に耳を傾けてくれました(⑩)。
要するに上司にうってつけの人物だという事ですね。
逆に考えると、この10個の条件に当てはまっていないのが鬼舞辻無惨なのかもしれませんね。
鬼舞辻無惨が指導者に向いていない5つの理由についてまとめたブログは↓
まとめ
今回は不死川玄弥とお館様こと産屋敷耀哉の魅力について深掘りしてみました。
今後も鬼滅の刃だけでなく、他の人気漫画や人気キャラクターについても心理学的な側面から切り取ってみたいですね
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