あなたの周囲には同僚や夫、妻の悪口ばかり言っている人はいませんでしょうか?
多くの人は悪口を言う事はある種の『ストレス発散になる』と思っているのかもしれませんが、実はその逆で悪口はストレスを増やすという研究結果が出ています
それどころか最悪の場合、認知症になったり、寿命を縮めるリスクも高まるそうです
今回は悪口を言う事のデメリットについて様々な研究結果から考えてみたいと思います
悪口を言う事でストレスが溜まる理由
東フィンランド大学の研究では、平均年齢71歳の1449人にある調査を行いました
1人ひとりに普段どれくらいゴシップを流したり、人を批判したり、意地悪な態度をとっているのか質問をしました
その結果、悪口や批判が多い人は、そうでない人に比べて、認知症になる危険性が3倍も高い事がわかったそうです
また別の研究では、悪口を言うと、ストレスホルモンであるコルチゾールが分泌される事がわかりました
長期にコルチゾール高値が続くと、身体免疫力を低下させ、様々な病気の原因になります
コルチゾールというのは、ストレスがかかった時に出るホルモンです
つまり『悪口を言う』事はストレス発散ではなく、逆にストレスになるという事です
また悪口を言い続けると、認知症になるリスクが高まるという事になります
女性は沈黙が多いと同じ様にコルチゾールが出るという事を書いたブログは↓
悪口を言う事で冠動脈疾患リスクが高まる
アメリカの心臓内科医であるフリードマンによると、冠動脈疾患になりやすい性格の人は
- 目標達成への意欲が強い
- 競争心が強い
- 周囲からの評価を求める
- 一度に多くのことをやろうとする
- 性急でせっかち
- 精神的・肉体的に過敏
- 容易に敵意を燃やす
傾向があるとしています
これらは、英語で表現した頭文字をとって『タイプA』と名前がつけられています
このタイプAは、どのくらい冠動脈疾患のリスクが高いのでしょうか?
カリフォルニア州で働く39~59歳の男性3154人を対象に、8年半の間に心臓疾患の発生率がどれくらいだったかを調べた結果では、タイプAはそうでないタイプ(タイプB)に比べ、心筋梗塞の発生率で2.12倍、狭心症では2.45倍も高かったそうです
更に、フリードマンの研究では『人の悪口をよく言う』人も冠動脈疾患リスクが高まるとしています
人の悪口をよく言う人には競争に勝とうという気持ちが強いタイプが多く、人を蹴落とそうとする敵愾心(敵に対して抱く憤りや、争おうとする意気込み)やライバル意識が非常に強い事が、発症のカギと考えられています
その背景としては、タイプAの人達は、かなり交感神経系が高ぶっていて、血圧が上がりやすかったり、心拍数が速くなったりします
これが動脈の血管に過度のストレスをかけ、その結果、動脈硬化になるリスクが高くなります
更に血管の中で血液の凝固が起こりやすくなります
その為に、冠動脈が詰まり、心筋梗塞や脳梗塞が起こりやすくなるとしています
出来てない部分を意識すると、出来てない部分を見つけやすくなる
カラーバス効果という心理効果があります
例えば、次の様な経験はありませんか?
朝の情報番組で『今日のあなたのラッキーカラーは赤です』という事を聞いたとします
そうすると、その時点からあなたの脳は無意識に赤い物を探し出そうとしはじめ、玄関先の小物であったり、街の自動販売機であったり看板であったり、今まで気付く事がなかった赤色の物に気付く様になります
要するに、人は特定の事を意識し始めると、日常の中でその特定の事に関する情報が自然と目に留まりやすくなる現象の事を言います
カラーバス効果は元々色に関する心理的な効果として広まった概念なのですが、色以外にも活用出来ます
悪口を例に考えてみましょう
悪口を言うという事は違った視点から捉えると『悪い部分を探し出そう』としている可能性があります
そうなると、必然的に悪い部分に意識が向くのは当然ではないでしょうか?
今一度別の視点からも考えてみましょう
悪口を言う→カラーバス効果が働く→新たな悪口が生まれるという負のループ
恐ろしい事に悪口を言うという事は誰かに対してアウトプットするという事にも繋がります
記憶のピラミッドから考えると、24時間後に1番記憶の定着率が高かった方法は『誰かに伝えたり、教える事』
要するに悪口を言う事はカラーバス効果が働くキッカケになるだけでなく、最高の(結果的には残念な)インプット方法になってしまっている可能性がある訳ですね
もっと噛み砕いて表現するならば悪口を言う→対象者の悪い部分を探し出そうとする(カラーバス効果)→新たな悪い部分を見つけて誰かに喋る(アウトプット)→悪い部分の記憶が強化される(インプット)という事になるのではないでしょうか?
記憶のピラミッドや記憶の定着率について紹介しているブログは↓
ストレスは周囲に感染する
周囲に職場や同僚に対する悪口ばかりを言っている人がいるとしましょう
そのネガティブな感情は近くにいるあなたにも悪影響を及ぼしている可能性があります
カリフォルニア大学リバーサイド校の研究者ハワード・フリードマンとロナルド・リジオは人が周囲のネガティブな発言やストレス、不安を取り込む事でパフォーマンスに悪影響を及ぼす原理を『セカンドハンド・ストレス』として論文に発表しました
別の研究グループによれば、被験者の26%がストレスを感じている人を見ただけで自身のコルチゾール(ストレスホルモン)のレベルが高まったそうです
この『セカンドハンド・ストレス』の感染力は、見知らぬ他者からより恋人からの方が強かった(40%)一方で、見知らぬ他者がストレスにあえいでいる映像を見た時も、24%の人がストレス反応を示したとの事
要するに悪口を言う事は自分自身だけでなく、周囲の人も巻き込みながら不幸にしてしまう可能性があるという事になるのではないでしょうか?
まとめ
今回は悪口を言うほどストレスが溜まり、不幸になる理由について、様々な研究結果から考えてみました
1人の理学療法士としての意見を最後に書かせて頂くならば、
療法士は職業柄『悪い所探し』が得意な人が多いのではないでしょうか?
患者さん、利用者さんだけでなく、実習生に対しても、まだまだ出来ていない事を探し続けている印象があります
悪い所を探す事を否定したいのではありません
せめて、悪い所だけではなく『良い所』も同じ様に探し続けてあげて欲しいなと私は思います
良い所探しに少しだけ意識を向ける事が出来れば、今まで気付く事が出来なかった良い部分にも気付く事ができ、その結果、悪口も少しは減って来るのかもしれませんね
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