理学療法士(PT)にコミュニケーション能力は必要なのか?~信頼関係とプラシーボ効果 ~

コミュニケーション
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理学療法士として働き始めて18年

様々な学会や技術講習会に参加したり、本を読んだりしながら自己研鑚して来ましたが、個人的に理学療法士に1番必要な能力はコミュニケーション能力ではないかと思っています

学んで来た技術も対象者との信頼関係が構築出来なければ効果を最大限発揮しにくいでしょうし、効率的にリハビリテーションを実現する為には他職種との連携が必要であり、連携する為にはコミュニケーションが必要になります

このブログの中でもコミュニケーションを円滑にする為の様々な心理学的なテクニックを紹介して来ましたが、今回はそもそも理学療法士に『何故』コミュニケーション能力が必要なのかを考えてみたいと思います

コミュニケーション能力向上に繋がる3つのポイントについてまとめたブログは↓

信頼関係の構築~プラシーボ効果の有効活用~

理学療法士だけに限らず、医療介護従事者であれば、対象者との信頼関係が重要であるという事は理解出来ると思います

その信頼関係を構築する為の1つのキッカケとして、コミュニケーション能力は大切なスキルだと私は考えています

では理学療法士として『何故』対象者との信頼関係が重要になって来るのでしょうか?

理由は多々あるかと思いますが、理学療法士として『プラシーボ効果』を最大限活用出来るというのは大きな理由の1つではないでしょうか?

プラシーボ効果とは簡単に言うならば思い込み効果の事です

近隣に雑誌にも取り上げられている様な有名な医師とヤブ医者として悪名高い医師がいた場合、前者に診察してもらった方が良くなりそうな気(期待感)がしますよね?

ただプラシーボ効果に関しては気だけでなく、しっかりと様々な研究から、その効果が証明されています

高齢者とのコミュニケーションを大切にして欲しい理由についてまとめたブログは↓

プラシーボ効果に関する研究

2020年に行われた米国の研究によると、プラセボ群だった788人の患者(関節リウマチ)を対象に、プラセボ投与開始時点から12週後まで、または24週後までの痛みの程度と、炎症のマーカーであるCRP(C反応性タンパク質)値、および赤血球沈降速度の変化を調べました

その結果、12週後、24週後の両方で、治療開始前に比べ、患者が訴える痛みの強さも、CRP値も、赤血球沈降速度も、すべて有意に改善していたことが明らかになりました

実際に投与されていたのはプラセボ(偽薬)だったにもかかわらず、効果を期待する気持ちが、関節リウマチによる炎症をも抑制した事になります

また、ミネソタ州に本部を置くメイヨークリニックのデイビッド・カルメス博士は、椎骨形成術が必要な患者130人を対象にし、その半数に実際に『椎骨形成術』を施し、半数にはプラシーボ効果を与えた

この場合、プラシーボに使われるものは、ダミーのカプセルではく『ダミー手術』

患者達は、自分がどちらの処置をされたのかも知らされていない

この際、患者がどちらの処置をされたのか気づく事のない様に精巧な策略をたてる必要があった

患者はみな手術に対し、同じ覚悟でのぞみ、手術室へ運ばれ、局部麻酔薬を与えられた

そしてコンピュータがランダムでどちらの手術を施すかを決めた、つまり医師達ですら、どの患者に『ダミー手術」を施すかは事前に知らされる事はなかった

この革命的な実験によって、実際には何の手術も受けていない患者も、手術を受けた患者と同等の回復傾向をみせた事が明らかになったそうです(ただ実験内容として倫理的に問題がある)

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理学療法×プラシーボ効果

要するに

  1. コミュニケーションを1つのキッカケに対象者との信頼関係を構築する
  2. 信頼関係が構築される事でプラシーボ効果が生じやすくなる
  3. 理学療法士としての技術にプラシーボ効果が上乗せされて結果が出やすくなる

コミュニケーション能力を高める事で信頼関係を構築しやすくなるだけでなく、結果も出やすくなるのであれば、利用しない理由はないと私は考えます

プラシーボ効果の様な目に見えないだけでなく、再現性のないものはアテにならないという療法士もいるかもしれませんね

私も若かりし頃は改善した理由が明確に説明出来なければ、次の患者さんに活用出来ないと考えていましたが、経験年数を重ねるに連れ、理屈にばかり拘るのは療法士のエゴなのではないかと考える様になりました

理由を説明出来るにこした事はないと思いますが、今は目の前の対象者が少しでも良くなる方法を最優先に考えています

対象者との心の距離を詰める為に活用しやすい共通項・類似性の原理について紹介しているブログは↓

まとめ

今回は理学療法士にコミュニケーション能力は必要なのかという疑問に対して、信頼関係構築とプラシーボ効果を中心に掘り下げてみました

プラシーボ効果の活用は信頼関係を構築する大きな理由の1つではありますが、決して理由はそれだけではありません

理学療法士に限らず、医療介護従事者が信頼関係を構築した方が良い理由、あなたであればどう答えますか?

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