実習指導における否定や批判が実習生にもたらす弊害~ノミの法則から考える~

理学療法士
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実習生と関わる事の多い全国の養成校教員と臨床教育者の皆さんに知っておいて欲しい法則があります

『ノミの法則』

ノミは本来1mくらい飛ぶ力があるらしいのですが、高さ30㎝のビンにノミを入れて透明の蓋を被せていると、最初ノミはビンから逃げ出そうとして、何度も何度も飛び上がり、透明の蓋にぶつかるそうです

そのまま1週間程経過すると透明の蓋ギリギリの所までしか飛ばなくなってしまう様になり、ノミをビンから出しても30㎝以上の高さまで飛ぶ事は出来ないそうです

ノミは『自分の限界はここまで』と思い込んでしまう訳ですね

教育者側のハラスメントが問題視され、実習の形がCCS(診療参加型臨床実習)に変わって来た事で実習生にかかる負担は大きく軽減されていると思いますが、私を含む少なからず実習生に関わる療法士は飛べないノミを作り出していないでしょうか?

今一度ノミの法則から実習生に対する関わり方を考えてみたいと思います

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実習生だけでなく若手も苦しんでいる

Twitterで見かけた1年目の作業療法士のツイート

同じくTwitterで見かけた理学療法士のツイート

多くの人が感じている事かもしれませんが、療法士は職業柄なのか悪い所探しが上手いですよね

問題となっている部分を見つけ出してアプローチする仕事でもあるので、ある程度は致し方ないとはいえ、出来ていない部分だけを探し続ける、指摘し続けるのは対応としていかがなものでしょうか?

ノミの法則で苦しんでいるのは実習生だけに限らず、社会人でも同じではないでしょうか?

出来てない部分ばかりに着目すると、出来てない部分ばかりが目に付く様になる理由についてまとめたブログは↓

臨床実習における教育者の役割

話を実習に戻しますが、実習生にとって透明の蓋になってしまっている教育者や養成校教員はいませんでしょうか?

実習生や学生の努力を認めようともせず、否定ばかりしていませんでしょうか?

教育者の本来の仕事は実習生が本来持っている能力を引き出したり、能力の使い方や捉え方を教える事ではないでしょうか?

80cmまでしか飛べなかった実習生を90cm飛べる様にする事が教育者の仕事ではないでしょうか?

何も考えずに上方向に飛び上がろうとしている実習生に対して、両膝を曲げてから飛び上がる事を教えるのが教育者の仕事ではないでしょうか?

両膝を曲げてからの方が高く飛び上がれる理由をわかりやすく教えるのが教育者の仕事ではないでしょ うか?

飛べなくなったノミをもう一度飛べるようにする方法

臨床実習で思い悩み、30cmしか飛べなくなってしまった実習生や若手の療法士は少なからずいると思います

実はその飛べなくなっている実習生や若手の療法士がもう一度1m飛べる様になる方法があるんです

それは1m飛んでいる仲間(同級生や先輩)を見る事

30cm以上飛べなくなってしまったノミが仲間の力を借りて『自分はダメだ』という思い込みを外す事が出来れば、もう一度高く飛べる様になるんです

つまり、30cmしか飛べない様にするのも療法士、逆に1m飛べる様にするのも療法士なんですよね

私は結果的に一時的ではありますが、30㎝しか飛べなくなった側の人間です

実習生時代の私が不出来だったのもありますが『あなたに理学療法士になって欲しくない』

教育者に冷たい表情で言われたこの言葉は一生忘れられないでしょう

こういった事を書くと『過去をいつまでひきずるんだ』とか『執念深い』という人がおられるのですが、それだけ教育者の言葉は重く、実習生の心に突き刺さるんだという事を認識しておいてもらいたいですね

そして30cmしか飛べなくなった経験者だから こそ、1m飛べる様にするお手伝いが出来るんだと信じています

臨床実習で苦しんだ実習生達へ

1つ実習生達に伝えたい実話があります

ある少年にはパイロットになるという夢がありました

でも少年にはディスクレシアという文章を読む事が困難になる障害を抱えていました

少年は周りの人に言われました

『字も読めないお前にパイロットなんて無理だ』

こういった決めつけを心理学で『ラベリング効果』と言います

レッテルを貼られる事て『やっぱり私には無理なんだ』という自己暗示がかかりやすくなります

少年はこの『負のラベリング効果』に苦しみますが、本を代読してくれる人や支援団体の力を借りながら努力を続け、パイロット試験に合格、映画に出演する事になりました

その少年は『トム・クルーズ』

誰もが知っている大スターですよね

臨床実習で苦しんだ経験がある実習生達へ

他人(教育者や養成校教員)の評価で自分の可能性を狭めないで欲しい

『療法士に向いていない』

教育者や教員が貼ったレッテルに負けないで欲しい

そもそも専門家の予想は50%程度しか当たらない事が研究によりわかっていますし(ブログは↓)本当の意味で療法士に向いていないかを判断出来るのは患者さんであり、ご家族ではないでしょうか?

どうしようもない時は逃げたっていい

だから命を絶つ事だけは止めよう

療法士だけが生きる道ではないし、療法士じゃなくても生きていく方法はいくらでもあるのだから

全国の臨床教育者へ

自分勝手な思い込みや好き嫌いで実習生の可能性を潰さないで欲しい

『大丈夫、出来る様になるよ』と良のラベリング効果を使ってあげて欲しい

しょうもないプライドは捨てよう

しょうもないマウンティングは止めよう

大野裁判を忘れない様にしよう

鬼滅の刃の鬼舞辻無惨の様な教育者にならない様にしよう

今一度我が身を振り返ってみよう

あなたは実習生の能力を引き出す教育者ですか?

引き下げる教育者ですか?

まとめ

今回は実習指導における否定や批判が実習生にもたらす弊害をノミの法則から考えてみました

少なくとも私が実習生時代には恐怖と不安でしかなかった臨床実習に対して、最近の実習生は楽しみにしている事も多い

自分達が目指している職業に対してワクワクしている後輩達を良い意味で後押し出来る、加速させる事が出来る、そんな臨床実習である為に、実習生だけでなく、

現場で実習生と関わる全ての療法士が知識の取得や技術の研鑽だけでなく、後輩達への関わり方についても学ぶ必要があるのではないでしょうか?

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